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前半戦をリーグ首位打者で折り返し!
ロッテ荻野貴司、復活の裏にある物語。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2019/07/15 08:00
走攻守のすべてが高いレベルで実現しているプロ10年目の荻野貴司。幾多の怪我を乗り越えてきた天才は完全復活を果たせるか?
改善策は「走り」の矯正だった。
荻野はこれまで3度、ハムストリングスの肉離れをシーズン中に起こしている。
2013年9月に右大腿二頭筋、2015年5月には左大腿二頭筋、翌2016年9月には右大腿二頭筋を肉離れ。いずれも試合中の走塁で痛めたものだ。
全力で試合に臨み、走ったことにもちろん後悔はない。
だが、もう二度と怪我に悩まされないようにと、日々の準備とケア、および技術面でも何か改善できることはないかと常に試行錯誤を重ねてきた。
そうした改善のひとつが「走り」の矯正だった。
スピードラダー、ミニハードルなどを使用したトレーニングメニューも、この陸上競技関係者から学んだことだ。
敏捷性を高めるだけでなく、体の動かし方から故障防止に気を配る。球場ではこうした器具を使用したトレーニングを続ける荻野の姿をわりと頻繁に見かける。
劇的に減った、ハムストリングスの故障。
「掻かないように。地面に伝えた力がそのまま上に上がって来れるように」
試合前練習のベースランニングでも、「つま先接地」を意識しながら、自身の走りをチェックする荻野の姿を必ずと言っていいほど見かける。
「(教えてもらったことを)今もまだ完璧にできていないです。プレー中に走り方を考えながら走るということはなかなかできないので……。ちょっとでも自分の走り方が良くなればいいかなという感じで続けています。
今まで積み重ねてきた自分の走り方もあるので、なかなかすぐに矯正は出来るものではないと思うのですが、試合になったらできないことを練習の中でちょっとずつ意識しながら、その中から若干でも良くなっていけたらいいかなって思って、続けていることです」
それだけが要因とは言わないが、2017年以降、荻野がハムストリングスの肉離れで戦線離脱することは実際になくなった。