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国立大Jリーガーから海外転戦人生。
廣山望が世代別代表で伝えること。
text by
谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph byTakashi Shimizu
posted2019/07/13 11:30
南米をはじめとした海外生活の経験が豊富な廣山望。そのキャリアで得たことを若き代表選手たちにも伝えていく。
アメリカでの2年間は貴重な経験。
さらにこの後も、指導者への思いを巡らす出会いがあった。2011年、現役生活を「もう一度リセットするため」に移籍したアメリカのリッチモンド・キッカーズでのことだった。
2年契約を結んだキッカーズは、2部相当のユナイテッドサッカーリーグ(USL)のチームだった。
メジャーリーグサッカー(MLS)の下部リーグ扱いではあるが、独立リーグという位置づけでもあり、チームメイトには会社経営など副業を持つ選手が多くいた。
廣山も空いた時間はスクールを運営する選手と行動をともにし、子供たちとボールを蹴った。大きな人工芝グラウンドを持ったスクールに、男女2000人以上もの生徒たちが駆け回る。現役最後の2年間と決めて向かったアメリカでの生活は、指導者へ向けた準備をする時間として最適だった。
完璧なスペインの育成ピラミッド。
アメリカでのプレーを最後に現役を退くと、廣山はスペインでの指導者研修に向かった。そこで本格的な指導者人生がスタートする。
「スペインは育成のピラミッドが完璧にでき上がっている。力があれば上のレベルに呼ばれるし、今いるカテゴリーでレギュラーになれなかったら1つカテゴリーが落ちる。それを1年刻みで繰り返す。一気に駆け上がる土壌も、這い上がる土壌も平等にある。力次第で世界が変わるんです。
最近では日本でもそういうムードになってきましたよね。久保建英が出てきましたが、彼は小さい頃からスペインでそのメンタリティを身につけているのが大きい。指導者として(能力が高い選手のカテゴリーをスムーズに上げる)スピード感は意識しているし、それで言えば今U-17とU-15の両方を見られているのはメリットと言っていいかもしれません」