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オリックス有利に見えるトレード。
中日の狙いと松井雅人の数奇な運命。 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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photograph byKyodo News

posted2019/07/04 11:30

オリックス有利に見えるトレード。中日の狙いと松井雅人の数奇な運命。<Number Web> photograph by Kyodo News

オリックスへのトレードが発表された松井雅人(右)は昨季、岩瀬仁紀の1000試合登板の際にも女房役を務めるなど活躍を見せていた。

メネセス、ロメロに変わる助っ人モヤ。

 くわえてモヤも大きな戦力となりそうだ。期待の新外国人だったジョーイ・メネセスが、ドーピング検査により禁止薬物の陽性反応が出たためにNPBから1年間の出場停止処分が科された。6月27日に球団は契約解除を発表。さらにステフェン・ロメロも右脇腹を痛め、戦列を離れている。

 新たな外国人選手を調査、交渉するには場合によっては担当者の渡米から始めねばならない。それよりもはるかに早く、日本野球にも適応が証明されている選手を獲得できた。

 モヤはウエスタン・リーグトップの打率.315をマークし、12本塁打は同2位、36打点は同3位につけている。OPSは.890と非常に高水準で、対戦経験の少ない投手でも早いカウントからフルスイングできる点を考えれば、リーグが変わることも苦にはしなさそうだ。

「新しい環境に早く慣れること。オリックスというチームを自分が助ける。それに尽きるよ」と力強く語っている。

モヤ放出は与田監督の親心。

 では、なぜオリックスが泣いて喜ぶような長距離打者を、中日は金銭トレードで放出したのか。これは与田剛監督が「他で活躍されると困るなんて考えない。うちでは常時、一軍では使ってあげられない。それなら活躍できる場を探してあげるのもこちらの責任」と話すとおり、親心としか言いようがない。

 昨シーズンの首位打者であるダヤン・ビシエドが不動の4番として君臨し、先発のエンニー・ロメロは5勝を挙げ、セットアッパーのジョエリー・ロドリゲスはリーグトップの24ホールドポイントをマークしている。さらにライデル・マルティネスは現在、クローザーとして活躍している。

 昨年、打率.321、15本塁打のソイロ・アルモンテですら4人の一軍外国人枠に入れず、二軍でプレーしている。外野守備に難のあるモヤは、交流戦が終わったいま、活躍の場はきわめて限定される。それなら快く送り出してあげようというわけだ。

【次ページ】 中日の補強は将来を見据えたもの。

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