野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
交流戦「1カ月戦争」を戦い抜いた
ロッテの最強ロボ・マジワラン。
posted2019/07/06 11:30
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph by
Sports Graphic Number
日本プロ野球界が交流戦をはじめて既に15年が経っていた。過去の交流戦での通算戦績は、パ・リーグの14勝1敗。パ球団にとって白星の草刈り場となった交流戦は、人々にとって第2の故郷となり、貯金はそこで生まれ、育ち、そしてセの前半戦で作った貯金は死んでいった。
西暦2019年6月。交流戦優勝からもっとも遠いセ・リーグ公国は、今季も徒党を組んで千葉ロッテマリーンズに戦いを挑んできた。この1カ月あまりの戦いで、マリーンズの成績は8勝10敗の9位。毎年恒例“挑発ポスター”でセ・リーグ公国との戦いに挑むも、総試合の半分以上を黒星に至らしめる。マリーンズファンは自らの行為に恐怖した――。
2005年、2006年と交流戦チャンピオンの栄光もすっかり昔の話。通算成績184勝156敗14分と全球団で3位と「交流戦はロッテ」と言われる強さを誇るも、なかなか優勝ができなかった千葉ロッテマリーンズ。そんなマリーンズが今年、交流戦優勝奪回作戦(通称:V作戦)遂行のため、秘密裏に開発を進めていたのが12球団最強ロボット・マジワランである。
マジワランの詳細は下記の通り。
正式名称:マジワランREI-WA01(AI搭載)
所属:千葉ロッテマリーンズ広報メディア室(第13独立部隊)
身長:82メートル(2016年に登場した初号機は98メートル)
体重:1530トン(初号機は2120トン)
装甲:ポリドハイドロニウム(樹脂と金属の中間物質。なお初号機はセラミックマトリックス複合装甲)、動力:亜空間ドラフト(初号機は海流発電型畜電池M1式ハイパーキャパシタ)。
機体説明:千葉ロッテマリーンズが月面基地にて開発を進めていた12球団最強ロボット。従来のロボットより小型軽量化することでさらなる機動性の向上が可能となり、また運用コストの低減、効率化に成功した。
【公式設定】
交流戦になれば何かやらずにはおれないのが千葉ロッテマリーンズ。2019年も挑発ポスターの精神は同じく、2016年に一度登場したマジワランを今季再びプロモーションの柱に据え、血で血を洗う第15次交流戦を戦うことを決意した。
そんなマリーンズとマジワランの2019年交流戦の戦いを総括する。
●vs.阪神タイガース【1勝2敗】
名称:虎型ロボット(AI非搭載)
身長:26~最大41メートル(伸縮タイプ)、体重:35トン、装甲:炭素鋼、動力:リチウムイオン電池。
機体説明:マジワランに先駆け「おしゃべり機能」を搭載しているのが特徴。頭部に搭載されたたこ焼き型粘着性ミサイルは、敵にへばりつき動きを封じ込める効果がある。パイロットは兵庫県尼崎市在住の60代女性という情報もある。【公式資料より】
第1話「マジワラン、大地に立つ」
交流戦、ヨーイドンで近本・糸井・大山の先制攻撃を受けいきなり2失点したマジワラン。2回裏に逆襲に転ずるも、8回糸井に被弾。9回にも5失点と11失点でマジワラン立ち上がれず「なんてモビルスーツだ。レイビンをまったく寄せ付けません!」と虎型ロボットの前に緒戦を落とす。
しかし第2戦はマジワランの2大巨砲、アジャ砲、レアード砲が火を噴いて勝利。第3戦でも9回に清田のタイムリーで追いつき延長戦に持ち込むも、10回に糸井の決勝打で惜敗した。「清田、気の毒だが、マジワランには延長戦を突破する性能はない。しかし清田、無駄死にではないぞ」。鈴木大地が11-4、二塁打2本で交流戦爆発の予感。
「まだよく動けんようです。やります」