草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
オリックス有利に見えるトレード。
中日の狙いと松井雅人の数奇な運命。
posted2019/07/04 11:30
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Kyodo News
中日とオリックスの交換トレード成立が両球団から発表されたのは、6月30日の午後9時。当日は両チームデーゲームで、当該選手への通告を済ませてから速やかにリリースされた。
中日からは「ドラゴンズのW松井」と呼ばれた松井雅人捕手と松井佑介外野手が、オリックスからは松葉貴大投手と武田健吾外野手が移籍する。また、同時にスティーブン・モヤ外野手の金銭での移籍も発表された。
5連勝するなどようやく勢いがついてきたとはいえ、なお借金7を抱え、5位に低迷する中日(7月2日現在/以下同様)。かたや12球団最低のチーム打率.233に苦しむオリックスは、最下位に沈む現状を打ち破るために、投手を減らしてでも3人の野手を獲得した。
なぜ中日とオリックスなのか。なぜこのメンバーで成立したのか。
即戦力捕手が必要だったオリックス。
まずはオールスターへの出場がどちらも3人と最少であることが物語るように、チーム成績が芳しくない。クライマックスシリーズ(CS)争いに加わるには悠長なことは言っていられないからだ。
どちらが得をするかはこれからの結果しだいだが、どちらが助かったかといえば、明らかにオリックスの方だろう。
互いに複数球団との交渉を進めていたと聞いたが、大きな契機となったのがオリックスの2番手捕手の伏見寅威が6月18日の巨人戦(東京ドーム)で左アキレス腱を断裂したことだろう。
今季中の復帰は絶望視される大けがだが、オリックスは支配下選手の捕手が5人しかいない。緊急かつ最優先の補強ポイントが、実戦経験のある捕手に絞られた。そうなると、昨シーズンは92試合に出場した松井雅はまさにうってつけだったというわけだ。