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<寡黙な男の述懐>
SANADA「クラシックとモダンの融合」
posted2019/07/05 07:00

text by

岡本佑介(東京スポーツ)Yusuke Okamoto
photograph by
Tadashi Shirasawa
【プロレス総選挙THE FINAL 第4位】
いま最もシングルでのタイトル獲得が待ち望まれている選手ではないか。期待感は選挙結果にも表れ、一昨年の52位、昨年の16位からトップ5に大躍進。その鈍く光る骸骨の仮面の下には、どんな美学や野心が潜んでいるのだろう。普段は黙して語らぬ男が、インタビューに答えて重たい口を開いた。(Number981号掲載)
いま最もシングルでのタイトル獲得が待ち望まれている選手ではないか。期待感は選挙結果にも表れ、一昨年の52位、昨年の16位からトップ5に大躍進。その鈍く光る骸骨の仮面の下には、どんな美学や野心が潜んでいるのだろう。普段は黙して語らぬ男が、インタビューに答えて重たい口を開いた。(Number981号掲載)
ビートたけしが驚いていた。
「この前プロレスを久しぶりに見たら『これはケガするわ』ってとんでもない技を連発するんだよ」
今年2月に「ビートたけしのエンターテインメント賞」で新日本の棚橋弘至を特別賞に選出した表彰式会場でのことだ。時代とともにトレンドは変化し、競技は進化する。全てはプロレスラーの鍛え抜かれた肉体と受け身の技術のたまものではあるが、特に近年は高度な技の応酬が増加し、その超人性がますます際立つようになっている。
そんな時代だからこそ昨年7月のSANADAの言葉にはインパクトがあった。
「頭から落とすだけがプロレスじゃねえんだよ」
G1クライマックス公式戦でザック・セイバーJr.とのハイレベルなグラウンドの攻防を制し、最後はオコーナーブリッジ(後方回転足折り固め)で3カウント。コメントブースでSANADAは、昨今の潮流へのアンチテーゼと己の美学を明確に表した。
ただし、かく言うSANADAも、プロレスと出会った小学校4年生のときは対戦相手を頭から落としまくるような少年だった。プロレスへの入り口となったのは、兄が買ってきたテレビゲームだ。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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