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全米OPは松山英樹を除き予選落ち。
国内選手に足りない海外での経験。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2019/06/26 07:00

全米OPは松山英樹を除き予選落ち。国内選手に足りない海外での経験。<Number Web> photograph by Getty Images

全米オープンに日本ツアー賞金王として臨んだ今平周吾。2日間、8オーバーで予選落ちを喫した。

海外の選手が日本でプレーしたら?

「PGAツアーの選手たちが日本でプレーしたらどうなるか。狭い国内のコースでやったら、カットラインはそんなに変わらないのでは……。変わっても1打、2打というところじゃないですかね。海外の招待選手が日本で必ず勝つかと言えばそうでもない。アダム・スコット選手はひとつの例で、日本オープンでなかなか勝てないでしょう」

 PGAツアーで通算13勝、'13年のマスターズ王者でもあるスコットは2014年以降、日本のナショナルオープンに4回出場して最高位は'15年の7位。'16年には予選落ちもした。

「海外の選手も日本では日本のコースに求められるゴルフをしなくてはいけない」

 そう考えれば、日本のプロが必ずしもレベルが低い、とは一概には言えなさそうである。

年々大きくなる国内と海外の差。

 ただし、裏を返せば日米で求められるプレースタイル、メジャーで活躍するためのゴルフは依然として異なるということだ。そしてその違いは年々、際立っているようでもある。

「コースの差はひろがっていると思いますね。米国ではティがどんどん後ろに下がっていく。グリーンを降りて、次のホールのティまで100ヤードも歩かなきゃいけないんですから……(笑)」(進藤キャディ)

 アスリート化はとどまることを知らず、よりパワーが求められる傾向にある海外のコースに対し、日本ではとにかく正確性に特化したプレーをコースが要求し続けている。

 そうであれば、選手の立場では日本からのスポット参戦だけでメジャーで好結果を出すのはより難しい。今平は言う。

「それは自分でも思うんです。やっぱり海外にパッと来て、出る試合がメジャーばかりなので。普通に予選を通ることも難しい大きな試合でいきなり……(上位進出)というのは難しい。“普通の”アメリカの試合に出て、日本とは違う芝や環境に慣れて、それでメジャーに出られたら……」

 日本ツアーでの好結果の“ご褒美”は、メジャーか世界選手権シリーズ(WGC)への出場資格であることがほとんどだ。そのたびに経験の浅い日本人選手が世界最高レベルのプレーヤー揃いのフィールドにおののき、自分たちを過剰に卑下して帰国の途につく。

【次ページ】 モデルとなる小平智の米ツアー優勝。

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