福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史「こんなヤバい雰囲気なの?」
コパ・アメリカで感じた異様な熱狂。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byJFA/AFLO
posted2019/06/11 11:45
1999年コパ・アメリカ大会のペルー戦、福西崇史は途中出場してA代表デビューを飾った。
A代表デビューを飾った20年前。
親善試合はこれまで招集されたメンバーを中心に戦った一方で、コパ・アメリカは東京五輪世代中心のメンバーで挑みます。僕は20年前のパラグアイ大会に出たり、2011年のアルゼンチン大会で解説者として現地を訪れるなど貴重な経験をしました。
コパ・アメリカをプレーしたからこそ伝えられることは……とにかく本気の南米は「タフで怖い」。これに尽きます。
1999年大会、僕はケガ人が出たことでの追加招集でした。さらに、初戦のペルー戦が自分にとっての代表デビュー戦(前半31分から途中出場)。世代別代表経験がなかったので、コパ・アメリカは初めて海外のアウェーで戦う大会で、何から何までドキドキするような状況でした。
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そしてピッチに入った瞬間、「こんなヤバい雰囲気なの?」と思いました(笑)。
試合会場はまるでプロレスの“デスマッチ”のように金網で囲まれていて、観客席が間近に迫っている。ピッチは凄くぬかるんでいて、ボールコントロールが難しかった。2戦目のパラグアイ戦では足首をケガして途中交代した悔しい思い出もあります。
南米の選手は「魂を込めてくる」。
もちろん今回の開催国はブラジルなので、スタジアムやプレー環境はもう少しいいはず。ただ試合に臨む南米各国の熱気は当時と同じくらい物凄いはずです。
対戦した選手の印象で言うと……とにかく激しい。
南米と言えば今ならメッシやスアレス、以前ならロナウドやリバウドといったワールドクラスの選手がすぐ思いつくところでしょう。
もちろん彼らのプレーは、すごい。ただそれだけではなく、日本では知られていないような選手たちの本気度を味わえることこそ、コパ・アメリカに出た本当の意味があるんだなと感じました。
とにかく1つ1つのプレーに対して、魂を込めてくる。球際では身体ごとぶつかるようにしてボールを奪いにくるし、試合終了までハードワークしきってくる。例えばペルー戦で僕らは1-0とリードして前半を折り返したんですが、後半からペルーがかけてきた圧力は今まで経験したことがないものだった。
がむしゃらにゴールを奪いに来る姿勢に押し切られてしまって、結局2-3で逆転負け。彼らとしてみれば、結果を残さなければ国じゅうから批判を浴びる。だからこそ軽いプレーはまったくできないし、国を背負っているという使命感の強さがそのままプレーに反映されるからこそ、目の色を変えてくるんです。