健康な体作りに必要な「食べる楽しさ」。

　だが、商品にも個性があり、ジャンルの幅があるはず。糖質が気になるという方もいれば、カロリーなど度外視で単純に甘いものを食べたいという甘党もいるはずだ。日常生活にお菓子をどのように取り入れていけば良いのか。メーカー視点でのアドバイスを訊いてみた。

「私たちが大事にしているのは、食べるのは楽しいことだと伝えること。アイスクリームを我慢するのは簡単だけど、糖質制限のアイス『SUNAO』を開発したことでむしろ今まで食べられなかった人たちの背中を押してあげたい。糖質もエネルギーの一つなので消費できるのなら取っても何ら問題はないんです。大切なのは栄養と運動のバランスを取ること。メーカーとして美味しさは保証しますので、食べた分、エネルギーとして消費して頂きたいですね」

　木村さんもかつては体重増に悩まされていたそうだが、糖質を制限し、運動を再開したことで体重をわずか3カ月で12kgほども落とした経験があるという。栄養も取りようなのだろう。

　大規模な広告を打っていないため認知度はそれほど高くないが、グリコはスポーツサプリや美容食品の開発にも力を入れている。健康な体作りへの思いは、創業者の代から脈々と受け継がれているグリコのDNAと、木村さんは話す言葉に力を込めた。

「病気になった人だけのケアでなく、予防科学的に日常のお菓子で栄養を補おうとしたのが創業者の思い。体は食べ物で作られるので、美味しくて健康的な食事を続けることが何より大切。グリコのトレードマークは走っているランナーが両手を挙げてゴールする姿ですが、あの晴れやかな笑顔こそが健康の象徴なんだと思いますね」

　家の近所で子供たちが元気に走っている姿に着目し、江崎自らが考案したのがあのグリコサイン。創業時から変わらない「1粒300メートル」のフレーズを、食べて運動して、健康になってほしいという、創業者からの変わらぬメッセージと受け止めたい。