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さいたまスーパーアリーナは奇跡だ。
国内最強の超設備と、唯一の弱点。 

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池田純

池田純Jun Ikeda

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posted2019/06/12 07:00

さいたまスーパーアリーナは奇跡だ。国内最強の超設備と、唯一の弱点。<Number Web> photograph by Getty Images

2019年のフィギュアスケート世界選手権の会場となった、さいたまスーパーアリーナ。日本随一の屋内施設だ。

「大きすぎる」のが唯一の弱点。

 年間のスケジュールはもちろんいっぱいで、1年中フル稼働している状態です。

 内訳はコンサートが大体50%弱で、スポーツイベントが20%くらい、あとは展示販売イベントとか、意外なところでは中学・高校の女子校の運動会が増えているそうです。最近は盗撮やプライバシーが問題になっているので、それを避けるためにも屋内でこれだけ広い空間があるスーパーアリーナは最適なんでしょうね。

 と、ここまで褒めちぎって来ましたが、私が考えるところ、日本最強のアリーナであるがゆえに、スーパーアリーナには1つだけ弱点があります。

「大きすぎる」んです。

 大きすぎるとどうなるかと言うと、開けるイベントが限られてしまう。数万人を動員できる全国区のイベントになるので、必然的に集客のためのマーケットが"さいたま地域"を超えて大きくなり、新幹線で来るお客さんも多いんですね。

 大宮に新幹線が止まるし空港からの直通バスもあるのでアクセスはいいんですが、イベントを目指して来て、終わったら帰ってしまうお客さんも多くて、“さいたま滞在時間”がなかなか伸びづらく、さいたま経済圏でのARPU(average revenue per user=お客さん1人あたりが使う金額)、つまり“さいたまARPU”が中々上がりにくい構造にならざるをえません。

人が流れる場所を街にまで広げる。

 “ニワトリ卵”の話しではあるのですが、さいたまにもっともっと全国区のホテルや観光施設やエンターテイメント施設があれば、コンサート目的で全国から集まった方たちの“さいたまARPU”も上がるのですが、現況ではそうはいきません。

 さいたまに何がしかのイベントで来たり、スーパーアリーナでコンサートを見たんだけど、泊まるのは都心、観光に行くのはディズニーランドとスカイツリー、という人も多いんですよ。

 私が横浜DeNAベイスターズで特に意識したのも、この“ARPU”を上げることでした。試合の少し前に来てもらって買い物や食事やビールを飲んで、人それぞれに野球をつまみに楽しむ場所があって、外にコーヒーショップがあったり、会場内でもお土産を買ってもらったり、と。

 さらには、帰りに飲食店街で1杯飲んでいってもらって、“人が流れる”場所を、野球場の中だけでなく“街にまで広げる”ことで、自分たちだけの利益追求ではなく“地域経済圏ARPU”が上がって、アリーナやスタジアムに集まった人たちの恩恵を街に還元することができるわけです。

【次ページ】 さいたまにもう1つアリーナを。

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#さいたまスーパーアリーナ

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