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米ドラ1スチュワート入団の決め手は、
ホークスの恵まれた三軍制度にあり。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byAFLO
posted2019/06/05 12:00
カーター・スチュワート・ジュニアは入団会見で大谷翔平に触れ、「打撃と投球で圧倒している」とも話した。
アメリカだと最低3年はマイナー。
それ以上に日米で大きく違うのは、プロ入りして数年間の若手時代の過ごし方だ。
米球界の場合はどんな黄金ルーキーでも、長いマイナー生活を経なければ最高峰の舞台に立つことはないのが原則。スチュワート・ジュニアをシミュレーションしたいくつかの報道を見ても、「かなり順調で」の注釈つきで入団後3シーズンのマイナー生活が想定されていた。
たとえば、昨年全体1位でデトロイト・タイガースに入団したケイシー・マイズも例外ではない。彼もやはり昨年夏はルーキーリーグで登板。2年目となった今季は1Aからスタートし4試合2勝0敗、防御率0.35の成績を収めて4月下旬に2Aに昇格を果たした。ここでも7試合5勝0敗、防御率1.21と圧倒的な数字を残している。
いくらマイナーといえども格が違い過ぎる。おそらくメジャーで投げても、ある程度は通用するはずだ。
マイナーの場合バス移動の連続。
ただ、メジャーの場合は「ある程度」でメジャー契約を締結しない。有望選手の飼い殺しを防止するための施策が整備されているために「シーズンを通して間違いなく戦える戦力」だと球団に確信させることが必要となる。
早い段階からトップレベルでプレーする機会を得るのならば日本、という選択肢が生まれたわけだ。
また、マイナーリーグの場合はシーズン中となると連日長時間のバス移動があり、ほぼ毎日試合を行うことになる。
試合の中で経験を積むのは大切だし、マウンド上でも自分の課題と向き合うことはできないわけではない。
ただ、選手育成の観点からすれば日本球界の方が恵まれていると言えるだろう。