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<名伯楽が振り返る>
キングカメハメハ「異端から飛び乗った王道」
posted2019/05/23 15:00

text by

片山良三Ryozo Katayama
photograph by
Photostud
異端。この言葉がこれほど似合うダービー馬もいないだろう。
ダービーに挑むまでのローテーションからして、この言葉をそのまま形容詞に使いたくなるものだった。1600mのNHKマイルCを激走したあと、中2週の短い間隔で2400mのダービーに出走するという特異なステップ――。
キングカメハメハが授かった稀有な才能を見抜いた松田国英調教師は、2004年、それなりの勝算を持ったうえで「変則2冠」に挑み、格別に鮮やかな彩りの大きな花を咲かせてみせた。
「この馬の父キングマンボは、マイルで絶対の強さを誇った馬。その長所を見事に受け継いで生まれてきたのがキングカメハメハですから、NHKマイルCには絶対の自信を持って臨みました」
松田は当時の気持ちの高ぶりを懐かしむように、穏やかな笑顔を浮かべながら慎重に言葉を選んだ。事実、NHKマイルCは、中団追走から直線でズドンと抜け出しての独走劇。2着コスモサンビーム以下に5馬身もの水をあけ、1分32秒5という当時のレースレコードを塗り替える圧勝を演じたのだ。発表は良馬場でも、当日の午後から雨が降り出し、上滑りのするコンディションだっただけに、このレコードには数字以上の価値があった。
鞍上を任された安藤勝己は、地方競馬・笠松から'03年にJRAのジョッキーになっての2年目。NHKマイルCについてこう語っていた。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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