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苦しい立場のアルバルクが連覇達成。
BリーグCSが物語る日本バスケの成長。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/05/13 18:00
連覇を達成し喜びを交わす田中(左)とルカHC。田中は3本の3ポイントを含むチーム首位の16得点。
明暗を分けたリバウンド数。
試合後、ジェッツの司令塔である西村文男は敗因の1つとして、「東京さんにタフショットを打たせるという狙いはできたのですが、そのあとにオフェンス・リバウンドを多くとられてしまったことが……」と語った。
逆に、アルバルクのインサイドを支えた日本代表の竹内は、こう話した。
「こういうゲームではディフェンスとリバウンドが重要だと思っていたので。リバウンドゲームでしっかり勝てた……とまでは言わないですけど、そこでしっかりゲームを作れたことが1番嬉しいですね」
思い返せば、準決勝でのジェッツは、リーグ最多のリバウンド数を誇る栃木ブレックスよりも多くのリバウンドを記録していた。そこにジェッツの今季の成長の跡を見て取った人も多かったはずだ。
しかし、アルバルクはファイナルという大一番でジェッツよりもトータルで13本、オフェンス・リバウンドだけで8本も多くつかみとってみせた。
アルバルクが、負けた時点でシーズン終了となるCSの戦いを、成長の糧にしてきた成果はそんなところにも表れていた。
竹内、田中が話したCSの意義。
竹内はCSの意義をこう説いた。
「新潟、琉球と、当然ですが、それぞれが色々なシステムを導入してきています。特色の違うチームを相手に、短い期間で準備して、僕らのディフェンスで対抗してきました。そして、そこで結果が出てきたことがやはり、自信になりました」
ルカHCが試合後の記者会見で準決勝のGAME3の意義を語っているのを聞いて、確かにうなずいていた田中は、こう考えている。
「ヘッドコーチの言葉にもあったように、琉球さんとのすごくタフなシリーズを制したのも、自分は、チームに勢いが出たんじゃないかと思っています。苦しかったですけど、最後にこうやって良い結果に終わることができて、すごく嬉しいです」
およそ7カ月間かけて戦うレギュラーシーズンで積み上げてきたものが問われるのが、CSという舞台である。
そんなシーズンの総決算であり、選手たちにのしかかるプレッシャーや緊張感がふくらむCSでは、一つひとつ試合に、レギュラーシーズンの試合以上の重みがある。そして、その重みは選手やチームの飛躍的な成長につながる。