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苦しい立場のアルバルクが連覇達成。
BリーグCSが物語る日本バスケの成長。
posted2019/05/13 18:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto
「レギュラーシーズンで千葉にコテンパンにやられていたという事実が、僕たちの闘争心に火をつけたのかなと思いますね」
竹内譲次の言葉どおりだった。アルバルク東京が、1年の総決算であるBリーグ・ファイナルの大舞台で、千葉ジェッツに1年間の借りを返してみせた。
もっとも、闘争心に火をつけようと意気込んだとしても、それを結果に結びつけられない選手やチームは少なくない。
プレッシャーのかかる大一番で、彼らが闘争心に火をつけ、リベンジを果たせた要因はどこにあるのだろうか――。
ジェッツ有利の声が多かったファイナル。
そもそも、今シーズンのジェッツが、52勝8敗というBリーグ歴代最高記録を打ち立てたのは周知の事実だ。他にも、1試合平均得点や3ポイントシュート成功率など、数々の記録を樹立した。
対するアルバルクは、レギュラーシーズンを44勝16敗で終えている。これは全18チーム中で4位の成績であり、ワイルドカードでチャンピオンシップ(CS)への出場を決めた。
チームは今季、開幕直前にタイで行なわれたFIBA Asia Champions Cup 2018に出場した。その関係でプレシーズンの体力面・戦術面での追い込みに失敗したことに加え、シーズン中もこれまでに類を見ないほどの期間にわたって日本代表の活動が組まれていた影響もあった。竹内に加え、田中大貴、馬場雄大という3人の日本代表選手がチームとともに活動できる期間は短かったのだ。
昨シーズンと同じ顔合わせとなった今シーズンのファイナルを前に、ジェッツの初優勝を予想する声は大きかった。
昨シーズンはレギュラーシーズンとアーリーカップを含めて、アルバルクから見てジェッツとの直接対決は5勝2敗という成績。レギュラーシーズンの成績こそ、今季同様にジェッツが上回っていたものの(ジェッツが46勝14敗、アルバルクが44勝16敗)、直接対決の勝敗に開きがあったため、ファイナルでアルバルクが勝っても驚きはなかった。
しかし、今シーズンは様子が違う。アルバルクとジェッツとの直接対戦の成績は天皇杯を含めて、1勝6敗という惨憺たるものだったからだ。