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苦しい立場のアルバルクが連覇達成。
BリーグCSが物語る日本バスケの成長。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/05/13 18:00
連覇を達成し喜びを交わす田中(左)とルカHC。田中は3本の3ポイントを含むチーム首位の16得点。
エース田中大貴の復調。
そして、もう1つがエース田中への影響だった。
田中は4月13日のジェッツ戦から、翌週までの計4試合を左足のハムストリングの怪我で欠場していた。ジェッツ戦の2週間後に始まったCSでも、スタメンではなく、途中出場から完全復帰への道を模索していた。だから、琉球との試合が3戦目までもつれ込んだとき、ルカHCはこう感じていたという。
「ダイキは怪我でチームをはなれていたので、なかなかゲーム勘が取り戻せなかった。ダイキが早くゲーム勘を取り戻せるようにという意味でも、GAME3は、チームにとって大きなステップだと思いました」
そうした考えがあったからこそ、琉球との試合を制すと、ルカは選手たちに発破をかけたという。
「この厳しいゲームに勝ったことは、我々の成長につながるぞ!」
そして、試合勘を取り戻そうとしていた田中も、ファイナルの舞台で今季のCSでは初めてスタメンに名を連ねたのである。
ジェッツの猛攻、ミスを逃さないアルバルク。
ファイナルは前半を終えた時点で35-33。一進一退の攻防が続き、アルバルクはどうにか2点をリードしてハーフタイムを迎えた。彼らが流れをつかんだのは第3Qからだった。ジェッツの守備でのミスを見逃さず、10連続得点を記録するなど、第3Q終了時のスコアは64-45。この試合最大となる19点にまでリードを広げた。
だが、第4Qに入ると、リーグ歴代最高勝率を誇るジェッツが意地をみせて、猛攻をしかけてきた。その結果、残り27秒を切った時点で、2点差の69-67まで詰め寄られ、さらに一度はボールを奪われ、速攻を繰り出されそうになった。
しかし、そこで相手のパスミスが生まれ、アルバルクボールに。最後はアレックス・カークが2本のフリースローを沈めて、71-67で逃げ切ることになった。