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登山届は遭難の「後」に役に立つ。
条例が増加中、報道には違和感。 

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森山憲一

森山憲一Kenichi Moriyama

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photograph byShinichi Yajima

posted2019/04/28 09:00

登山届は遭難の「後」に役に立つ。条例が増加中、報道には違和感。<Number Web> photograph by Shinichi Yajima

南アルプスの畑薙大吊橋登山口にある登山届ポスト。

提出しづらい山域があるのも事実。

 登山届の提出は、登山者の自主的慣行あるいは一種のマナーとして、昔から行われていた。ところがその提出率は1割程度といわれてきた。

 なかなか提出率が増えなかったため、その後押しをするために条例が制定されたようなものだが、現状では登山者が提出しづらい山域があるのも事実だ。

 登山届を受け付けているのは各都道府県の警察だが、いまだに郵送かファクスでしか受け付けていないというところもある。提出先のわかりにくさと手間が、提出率が伸びない大きな理由にもなっているのだ。

 もちろんより提出しやすくする努力も続けられている。登山者が多い県を中心に、インターネットを利用した、より簡便な方法に切り替えるところが増えている(日本山岳ガイド協会の「コンパス」というサイトを利用するケースが主流だ)。

登山届は自分のために出す。

 もっとも簡単なのは、登山口に設置されているポストに登山届を投函することだ。

 人気山域では用紙と筆記用具まで備え付けられているので、必要事項を書けばいい。用紙がないところは事前に書いたものを持っていく必要があるが、書式に神経質になる必要はない。もっとも重要かつ欠かせないのは行動予定。次に家族の連絡先。これさえ書いてあれば、ほぼ用は足りる。

 登山届とは、「守らなければいけないルール」ではなく、「遭難しないようになるお守り」でもない。万一のときに助かる可能性を上げてくれるエマージェンシーキットみたいなものなのだ。提出するのはあくまで自分のため。そう考えると、提出しようという気分が少しは上がるのではないだろうか。

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