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「午前決勝」の敵は暑さより騒音?
東京五輪の選手村環境を考える。
posted2019/05/04 17:00
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Getty Images
東京2020の日程が発表された。オリンピック種目は、テレビの放映権をもつ米国TV局の意向もあり、水泳のほとんどの種目、そして陸上の一部種目が午前決勝。またマラソン、競歩のほか、トライアスロンも朝6時~7時のスタートと、世界選手権などとは異なる日程になった。
スタート時間が早いことに関しては、選手も関係者も「みんな同じ条件だから」と納得している様子。だが選手たちにとってはもう1つ難しい問題がある。
睡眠対策だ。
フェルプスも愚痴った北京五輪の日程
20年ぶりのアジアでの夏季五輪開催だった2008年北京五輪。水の怪物マイケル・フェルプスが前人未到の8冠に挑戦とあって、大会前から大きな話題をさらった。そのため、米国のプライムタイムにあわせて、水泳の決勝は午前中になった。
「大会中、ずっと眠かった」とフェルプスは大会後にぼやいていた。
「午前中にピークを合わせるためには、いつもよりも起床時間を早めなければないし、午前で力を出し切っても休む暇がなかった。表彰式に出て、ランチを食べて、ちょっと昼寝したら、あっという間に午後の試合だったから」
フェルプスの場合、これに加えてドーピング検査があったため、「休む時間がほとんどなかった。わずかな時間を見つけて寝ていた」と話す。
北京五輪の場合、選手村と水泳会場が近かったこともあり、移動時間が少ないことだけはプラスに働いたが、多種目を掛け持ちする選手にとっては、狙った大会で最高のパフォーマンスをするには少し酷な環境だった。
フェルプスのように8種目に出場する選手はさすがにいないと思うが、多かれ少なかれ、水泳選手は同様の悩みを抱えながら東京五輪に臨むことになる。