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競歩50kmは、東京五輪が「最後」。
ひしめく日本の有力選手たちは……。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2019/04/22 07:00

競歩50kmは、東京五輪が「最後」。ひしめく日本の有力選手たちは……。<Number Web> photograph by Kyodo News

日本選手権1位の鈴木、2位の川野がともに従来の日本記録を更新するなど、ハイレベルな争いとなった。

この廃止は必然だったのか。

 結局2017年の時点で、競歩の50kmは廃止に至らなかった。だが昨年、存廃の問題が再浮上し、今年3月ついに国際陸上連盟は、オリンピック・世界選手権での実施を2021年までとすることを決定したのである。

 大枠で言えば、必然的な決定だったという考え方もある。競歩への一般的な関心は、決して高くない。これだけ多くの日本人選手が活躍していても、注目が高まっているとは言いがたい。無論それは、海外でも同じだ。

 IOCの姿勢を考えれば、オリンピックにおける競歩そのものの存続問題にもつながりうる。陸上200mさえも除外が検討されたことがあると聞くが、そのIOCのシビアな査定を考えれば、50kmを取りやめる改革は、オリンピックで生き残っていくために評価されるべきかもしれない。

先人たちの努力を考えれば……。

 ただ、50kmを中心に活躍してきた選手やその周囲の人々、日本が強豪国になってきた過程を考えれば、受け止め方は異なる。

 もともと強化費をはじめ環境面で厳しい状況にあった競歩は、「個」の努力で道を切り開いてきた。オリンピック強化コーチを務める今村文男が海外研修で強化方法をつぶさに学んで持ち帰ったり、海外のナショナルチーム合宿に同行してどのような練習をしているかを学び、国内に還元したのは最たる例だ。

 世界選手権で銅メダルを得たあと、谷井は「土台作りをしてくれた先輩方は偉大です」と語った。鈴木の「作ってくれた土台に、うまく乗っかれています」という言葉も象徴的だ。

 そうした地道な土台作りがあり、さらに選手個々や指導者がそれぞれの場で練習を重ねて世界に挑んできた。世界有数の強豪という地位は、そうして生まれた。

 彼らが目指してきた50kmが失われることになる。そう考えたとき、廃止されることがよかった……とは言いがたい。

 多くの有力選手がひしめく50kmのオリンピックでの最後のレースは来年。“最後”の代表枠に向けて、しのぎを削る争いが続いていくことになる。

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