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大木武が磨く岐阜式ダイヤモンド。
「ミスマッチだから面白いんだよ!」
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/03/15 10:00
上々のスタートを切った大木・岐阜。新システムに磨きをかけ、熾烈なJ2を戦い抜く。
「“トップ下”はあんまり好きじゃない」
戦い方は一昨年、昨年からの継続、すなわち攻守の速い切り換えや球際の強さ、運動量といった要素がベースであることに変わりはない。ただし、選手の立ち位置が変わることによって、見える景色の違いはある。相応の微調整は必要だ。
「まず前線の2人のコミュニケーションが大事になる。あと、ダイヤモンドの頂点のことをよくトップ下と言うけど、それはあんまり好きじゃない。昔の司令塔タイプのトップ下ではなく、しっかりポジションを落としたり、戻したり、前に出て行ったり。トップ下だからと言って、役割はこれだけとか、そういうことは一切なくて。ほかの中盤の3枚と同じようにプレーして欲しい」
そのダイヤモンドの頂点の位置は、開幕戦で2ゴールをあげた風間宏矢が務める。
「ボールに絡む以外の、守備の負担やポジションを戻す必要はより増える」と、多岐に渡る要求を理解した上で、「真ん中に人数が多いし、2トップにしっかりボールが収まる選手がいるので、そこの迫力は絶対に出ると思う」と、その効果を語る。
「真ん中にいる」ことこそ、岐阜式ダイヤモンド。
開幕戦から2トップの一角を担っている山岸祐也も「去年は前線の両ワイドがサイドに張っていて、逃げ道としては機能していたけど、真ん中に掛ける人数が少なくて前を向けないシーンがあった。今年は自分とライザ(ライアン・デ・フリース)が前にいて、2人のコンビネーションだけで行けるシーンが多い」と、すでに変化を実感している。
この真ん中にいる人の多さこそが、岐阜式ダイヤモンドの特色だ。
中盤の左右の選手が中央寄りに位置するため、ダイヤモンドのサイズが非常にコンパクト。と、同時に変幻自在に形は変わり、中盤の4枚が三角(1-3)にも逆三角(3-1)にも四角(2-2)にもなれば、2トップの1枚が守備に参加するため落ちることで「4-4-1-1くらいの感覚」(MF宮本航汰)になることもある。ボールサイドへ前後左右、ユニットごと移動するような印象だ。