スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
大谷翔平と同年代の注目株。
21歳でOPS9割超、怪物の名は……。
posted2019/03/02 11:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
AFLO
毎年、いまごろになると、〈スポーツ・イラストレイテッド〉が《MLB選手トップ100》を発表する。このリストの面白いところは、ビッグネームが入るとは限らないことだ。例えば、去年のリストに入っていたダルビッシュ有やブライアン・ドジャー、トレイ・ターナー、マイケル・フルマ―といった有力どころが、今年は漏れている。
今年、リスト入りした日本人選手は大谷翔平ただひとりだ。まあ、妥当な線だろう。大谷は1994年7月5日生まれだから、今季開幕時は24歳だ。脂の乗りはじめる年ごろというか、リストにはこの世代の選手が目立つ。
少し上まで入れると(マイク・トラウトやブライス・ハーパーやアーロン・ジャッジなど)相当の数になるが、現在25歳以下に限っても、黄金世代と呼びたくなる選手が多く含まれている。
投手はセベリーノ、ヘイダーら。
まず先発投手では、アーロン・ノーラ(フィリーズ)とルイス・セベリーノ(ヤンキース)がいる。昨年のポストシーズンで注目を集めた(23回3分の2を投げて29奪三振)ウォーカー・ビューラー(ドジャース)の成長も著しいし、地味なところでは、カイル・フリーランドやヘルマン・マルケス(ともにロッキーズ)の存在も見逃せない。
とくにフリーランドは、昨年202回3分の1を投げて、17本しか本塁打を打たれなかった。速球の平均速度は150キロに満たないが、バットの芯に当てさせない投球術は、トレヴァー・バウアーやマイルズ・マイコラス、あるいはカイル・ヘンドリクスに迫る。
救援投手では、ジョシュ・ヘイダー(ブルワーズ)とエドウィン・ディアス(メッツ)が双璧だろう。ヘイダーはポストシーズンで名を挙げた若手左腕だが、'18年のレギュラーシーズンで6勝1敗、81回3分の1(打者306人)を投げて143奪三振という数字が素晴らしい。9回あたりの三振数に換算すると15.8。奪三振率46.7%ということは、ほぼ2人に1人がきりきり舞いした計算になる。
99マイルの速球と超絶スライダーを武器とするディアスも、負けていない。こちらは昨年のマリナーズ時代、年間280人の打者に対して124奪三振。率に直すと44.3%。年間57セーヴは、2018年の大リーグ全体で最多だった。