スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
大谷翔平と同年代の注目株。
21歳でOPS9割超、怪物の名は……。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2019/03/02 11:00
昨年、大谷翔平はメジャーリーグの新人王に選出された。ただ同年代にはゴロゴロとスーパースター候補が居並んでいる。
内野手はリンドーア、ブレグマン。
内野手の双璧は、フランシスコ・リンドーア(インディアンス)とアレックス・ブレグマン(アストロズ)だ。このふたりは相当に高いレベルに達している。
リンドーアの場合は、多彩な化け方が眼を奪う。マイナー時代は「守備の人」、2015年にメジャー昇格した直後は「スモールボールの実践者」(打率が3割1分3厘で、犠打が13)だったのに、'17年には33本塁打を放って周囲を仰天させる。180センチ、86キロという細身が信じられぬほどのパワーだったが、'18年にはまたしても38本塁打を記録する。同時に、70四球、25盗塁。守備も相変わらず巧いオールラウンド・プレイヤーだ。
ブレグマンの特徴は、本塁打が多いのに三振が少ないことだ。'18年の成績は、31本塁打、85三振、96四球。二塁打51本は大リーグ最多だが、25歳以下で30本以上の本塁打を打ち、なおかつ四球の数が三振数より多い打者は、彼を含めて史上12人しかいない。
ミッキー・マントル、ウィリー・メイズ、ハンク・アーロン、ケン・グリフィー・ジュニア、アルバート・プーホルスといった大打者に伍しているのは素晴らしい。
彼ら以外では、コーリー・シーガー(ドジャース)、マット・チャップマン(アスレティックス)、カルロス・コレア(アストロズ)、リス・ホスキンス(フィリーズ)といった実力派が見逃せない。ホスキンスは左翼手兼任だが、史上7位のハイペース(192試合)で50本塁打に到達した長打力が魅力だ。
外野手で最も若いのは21歳のソト。
外野手は多士済々だ。'17年のナ・リーグ新人王コーディ・ベリンジャー(ドジャース)はまだ23歳だし、'18年新人王のロナルド・アクーニャJr.(ブレーヴス)に至っては、'97年12月生まれの21歳だ。そして、もっと若いのが、'98年10月生まれのホアン・ソト(ナショナルズ)。
ソトは、「大リーグデビューを果たす前に」(記録上の初打席で)ホームランを打った選手だ。しかも初球。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のような話だが、具体的にはこうだ。
試合はナショナルズ対ヤンキースだった。5月15日の試合が6回裏、3対3のままサスペンデッドになり、再開されたのが6月18日。この再開試合に、走者を一塁に置いて先頭打者(代打)で出てきたのがソトだ。彼はチャド・グリーンの初球をライト2階席最上段に運び、これが決勝の2点本塁打となる。記録上は5月15日の試合の本塁打とされるが、その時点の彼は、まだダブルAのハリスバーグに在籍中だった。ややこしい。