“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
ベガルタの主将、不動のCBとして。
大岩一貴「今季は恩を返す年だと」
posted2019/02/22 16:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「昨季を一言で振り返ると『悔しい』という言葉しか出てきません」
ベガルタ仙台のCB大岩一貴は2018年シーズンをこう表現した。
2016年にジェフユナイテッド市原・千葉から仙台にやって来た大岩は、加入1年目からリーグ33試合に出場。翌2017年に34試合、そして昨年は33試合出場。ここ3年間でリーグ戦全102試合中100試合に出場をするという、仙台に欠かせない不動の存在になっている。
さらに一昨年はルヴァンカップベスト4、昨年は天皇杯準優勝と、チームの躍進に貢献しており、彼の存在は渡邉晋監督だけでなく、サポーターからも大きな信頼を得ていると言っていいだろう。
だが、そんな彼から出て来た言葉は「悔しい」の一言だった。
その言葉の裏側には、大岩一貴という1人のプロフェッショナルな男が背負っている、重い責任が存在した。
「昨年は失点が多かった。正直、コンディションに苦しんだ時期もありました。一切言い訳にならないけど、その中で自分がトップフォームだったらもっと防げただろうと思うシーンもいくつかあった。僕はCBとしての責任を全うし切れたとは言えないんです」
「3バックの真ん中とGK」の責任。
昨年の仙台はリーグ14位タイの54失点。確かに多い部類に入る。
だが、失点は1人だけのせいではない。前線でボールを奪われてカウンターを受けたり、ボランチがマークを外してCBの位置で数的不利になるなど、単純にCBだけに責任があると言えない失点がサッカーでは多いのである。
それでも……負うべき責任があるんだ、と大岩は言う。
「一昨年の途中から3バックの真ん中をやるようになったことが大きいんです。僕の中で失点の大きな責任は、3バックだと真ん中の選手とGKにあると思っているんです。
4バックだとCBの2枚とGKで責任を負うけど、3バックは違う。3バックの真ん中は『ゲームを変えられる存在』でなければいけないと思うんです。たとえ数的不利でも1人で守れる、セットプレーで決めれる、キックで打開できる……。それをやることができれば、失点をもっと減らせるはずなんです」