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<最強プロップの源流>
具智元「国境を越えた血と熱」 

text by

藤島大

藤島大Dai Fujishima

PROFILE

photograph byphotographs by Naoya Sanuki

posted2016/02/26 10:30

<最強プロップの源流>具智元「国境を越えた血と熱」<Number Web> photograph by photographs by Naoya Sanuki

残雪のグラウンドで微笑む息子と、ソウル郊外の凍結した池のほとりに立つ父(右)。

韓国にルーツを持つ、サンウルブズ最年少の21歳。現在、大学最強と謳われるプロップの成長は、かつてジャパンのスクラムをめくりあげ、韓国最強と畏怖された父の叱咤と愛情なくしてありえなかった。国境を越えて、ラグビーに全てを捧げる親子の物語。

 赤と白のジャージィーを宙につり上げた男の息子である。

 具智元。グ・ジウォンと読む。

 韓国出身で拓殖大学のラグビー部在籍、学生最強とも評価される右プロップだ。

 写真でおわかりの雄大な骨格、そこだけ別の生き物のごとき太股の筋肉、誠心誠意の態度、そして父を敬う儒教の心で、いよいよ国際ラグビーの修羅場に歩を進める。

 身長184cm、体重122kg。こんなに大きな器なのに、50mを7秒02で駆けた。政経学部の3年生、帰国すると食べたくなるのはイイダコ料理。スーパーラグビーのサンウルブズが密かに抱える「アンカー(碇)」である。スクラムという船をぐらつかせぬための鉄塊のごとき重責をチーム最年少の21歳にして担う。

 釜山(プサン)。ソウル。ニュージーランドの首都ウェリントン。大分の佐伯。東京西郊の山の中。そこから世界へ。幼いころから旅と異国暮らしを続けた。アジア最強のスクラムの組み手としてとどろいたアボジ(父)の支えと後押しが常にあった。


 新年某日、拓殖大学のグラウンドへ向かう。中央線高尾駅からタクシーで八王子キャンパスに入ると「まむし注意」の看板が目に飛び込んできた。人工芝に雪が残る。昨年度は関東リーグ戦6位のチームの練習を離れた場所から眺めて、それでも群像に具智元の姿はたちまち確かめられた。

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