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<アトランタ五輪の指揮官とエースが語る>
低評価のチームはなぜ勝てたのか。
text by

粕川哲男Tetsuo Kasukawa
photograph byNaoyoshi Sueishi
posted2016/02/04 06:00

大人しいチームのなか、櫛引は的確なコーチングで仲間を鼓舞した。
当時の指揮官・西野氏の分析を特別に掲載します。
西野朗「選手起用に驚いたが、監督のマネジメントが素晴らしかった」
5大会前も、いろいろ準備してアジア最終予選に臨んだ。当時は28年間も五輪に出ていなかったのに、Jリーグが出来て期待が高まり、当然勝ち抜けるという空気があった。実際、プロでもまれるようになった選手たちは優秀で、大きな期待に応えてくれた。あれから20年、アジア予選は日本にとって勝って当たり前の大会になったと言える。
でも、今回は違った。下のカテゴリーで勝てなかったせいで前評判が低く、危ないんじゃないかという雰囲気があった。選手もこれまでのような華やかさがなく、みんな黒子というか、淡々としたプレーヤーばかり。ここ最近の五輪代表と比べても、大人しい、覇気がないという見方が強かったようだ。
僕は、それでもアジアのトップレベルにいることは間違いない、他国が日本を警戒してくるなか自信を持って戦えば、絶対に突破できると言い続けていた。周囲の反応は「大丈夫?」という感じだったけどね。そんな予選突破への危機感が最も強かった大会で、チームは本当に素晴らしい戦いを見せてくれた。
韓国との決勝は前半20分までは力の差があるのかなと思ったけど、監督のプラン、選手の意気、チームの持ち味、すべてが合致して逆転した。劇的というもののなかで最上級だったんじゃないかな。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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