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<錦織圭のトレーナーが明かす>
中尾公一「フィジカル改善こそ、飛躍の鍵だった」
text by

秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byGetty Images
posted2015/06/24 06:00

中尾公一。
自分がチーム錦織圭にいる最大の目的は、ケガをさせないことです。仕事の範囲としてはトレーニング――と言っても、強化というよりコンディショニングとしてのトレーニング、それからケガをしたときのリハビリを指導します。また、疲労をとるためのトリートメント(治療)も行います。
強化担当のトレーニングコーチは別にいて、自分はツアーに帯同しながら、例えば細かい関節の動きだとか、十分にトレーニングできていない部分を補っていきます。状態や症状を見ながら、今までのトレーニングの延長で行うこともあれば、どこかに違和感が出ていれば原因を調べてそれに対するメニューを与えることもある。状態を見るため、練習時もずっと一緒です。
'13年の全豪からこのチームで仕事をしてきましたが、当時、彼には痛むところが7カ所くらいありました。なかでも左ひざとわき腹に大きな痛みがあり、彼には「ひざは1年くらいかかるから」と言って、練習や試合をしながら治すことにしました。
治療の一方で、重心を前に持っていくということを少しずつやりました。ストロークで体重が後ろに乗って体の軸が反っていたのを少しずつ矯正したのです。軸が反っていると太ももの前側に負担がかかり、ひざのお皿の下の腱に力が伝わるから、ひざが痛む。ちょっと重心を前に持ってくるだけで負担が減るから、痛みも少しずつとれてくるんです。そうすることで、その年の全米(8月)の前くらいから痛みを訴えることが少なくなりました。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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