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命を削って戦い抜く――太く短く生きる大横綱たち。~大鵬、北の湖、千代の富士は何を背負っていたのか~
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byNaoya Sanuki
posted2016/09/08 08:00
昭和最後の大横綱・千代の富士の土俵入り。その所作には品格が漂い、四股も美しかった。
「強い順番に亡くなってしまうのかなぁ……」
愛弟子の弔問に訪れた、千代の富士のかつての師匠――52代横綱北の富士は、悲痛な面持ちを見せていた。2013年初めには72歳の大鵬が、'15年11月には62歳の北の湖が、そして先の7月には61歳の千代の富士がこの世を去った。
昭和の相撲界を背負った大横綱たちの訃報が続く。思い起こせば、千代の富士の難敵とされた59代横綱隆の里も、59歳の若さで亡くなっている。
遡れば、角聖と呼ばれた双葉山は56歳で没し、「栃若時代」として一世を風靡した44代横綱栃錦は享年64。「柏鵬時代」を築いた大鵬のライバル、47代横綱柏戸は58歳でこの世を去っている。昭和の世になり初の横綱に昇進をしたのが32代玉錦(現役中没)だが、以降、昭和時代を生き抜いてきた横綱たちの享年は、おおむね50代、60代の短命である。80歳まで生きたのは42代横綱鏡里のほか、45代横綱の初代若乃花。享年82、これは昭和以降に昇進した横綱の最長寿記録となっている。