競馬PRESSBACK NUMBER
2歳王者をねじ伏せた秀逸な末脚。
ダノンキングリーは関東の星だ。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/02/15 16:30
共同通信杯で3連勝を飾ったダノンキングリー。2019年クラシック戦線の主役に躍り出た。
残り300mで抜群の伸び脚。
上位の順列に変化はないまま馬群は4コーナーを通過。直線に入る。先頭はアドマイヤマーズのままだったが、経済コースを回ったダノンキングリーが坂下では早くもその直後、外のフォッサマグナとナイママに並ぶ位置まで上がってきた。
ラスト400mではまだ先頭のアドマイヤマーズが2歳王者の意地で突き放すか?! と思ったのも束の間、残り300m付近でただ1頭これに並びかけて来たのがダノンキングリーだった。
この時点でフォッサマグナが一杯になり、前を行く2頭と残り5頭との差がグングンと開く。
中でもダノンキングリーの伸び脚は秀逸で、ラスト200mでは完全にアドマイヤマーズをかわし、最後は1と4分の1馬身の差をつけて先頭でゴール。2歳チャンピオンに初めて土をつけるとともに、自身の連勝を3に伸ばした。
勝ち馬の上がり3ハロン32秒台の脚にこそ屈したものの、アドマイヤマーズも3着のクラージュゲリエには4馬身の差はつけているのだから、ダノンキングリーが強かったと言うしかない結果だった。
萩原調教師とロジユニヴァース。
ダノンキングリーを管理するのは萩原清調教師。関西馬の強い昨今において、藤沢和雄調教師や国枝栄調教師、堀宣行調教師らとともに関東に厩舎を構えながらも存在感を示す調教師だ。
2009年にはロジユニヴァースで日本ダービーを制しているダービートレーナーでもある。
ロジユニヴァースは2歳時に3戦3勝。3歳初戦の弥生賞も快勝したものの皐月賞では14着と大敗。しかし、そこから中5週の間に立て直し、ダービーを制した。
ダービーを目前に控えた段階で、しつこいほど角馬場で左回りばかりを乗ったり、調教騎乗者を当時まだ若かった現役の騎手に替えたりと、様々な手を打って短期間でロジユニヴァースを蘇らせた。
そうしてダービーを優勝させたわけだが、レースの直後には、次のように話してくれていた。
「ロジユニヴァースがダービーを勝ったということに関しては嬉しいと感じました。でも、自分としてはホッとしただけです。これだけ素晴らしい馬をオーナーから預けていただいたにも関わらず、皐月賞では迷惑をかけてしまいました。だからダービーを勝ったからと言って、もろ手を挙げて喜ぶわけにはいきません」