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2歳王者をねじ伏せた秀逸な末脚。
ダノンキングリーは関東の星だ。 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySatoshi Hiramatsu

posted2019/02/15 16:30

2歳王者をねじ伏せた秀逸な末脚。ダノンキングリーは関東の星だ。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

共同通信杯で3連勝を飾ったダノンキングリー。2019年クラシック戦線の主役に躍り出た。

担当厩務員が回想するダービー。

 このダービー馬を担当していたのが当時33歳だった松山直樹調教厩務員だ。

 父も厩務員だった彼は、1996年に美浦トレセンで働くようになると、翌'97年からは萩原厩舎に身を置いた。

「幼い頃に凄い馬だと思ったシンボリルドルフは弥生賞を勝ち、皐月賞も勝ちました。だからロジユニヴァースが弥生賞を勝った時点で、色気を持ってしまいました」

 それでついつい余裕がなくなってしまったことに後から気付いた。だからダービー前は雑念を捨てた。

「必要以上に馬房を覗いたり、外に出したりしないで、普段通り、他の馬と同じように接しました」

 レースはゲートまで付き添った。スタートした後は、ターフヴィジョンを見ながらスタンド前を歩いてゴール方向まで移動した。その目に先頭で直線を駆け上がるロジユニヴァースを見た時、「シンボリルドルフの呪縛から解き放たれた」と思ったという。

 この松山厩務員が現在、担当しているのがダノンキングリーである。

石橋や松岡と同期だった調教助手。

 そして、ダノンキングリーの調教をつけるのは南田雅昭調教助手だ。

 彼は1984年生まれで父は元騎手の南田美知雄現調教師。小学5年生から乗馬を始め、中学卒業と同時にJRA競馬学校に入学。2003年に、石橋脩騎手や松岡正海騎手の同期として騎手デビューを果たした。

 しかしジョッキーとしてはなかなか思うように行かず、'11年に鞭を置き、ダービートレーナーである萩原清調教師の下で調教助手となった。

 '17年のUAEダービーで2着となったエピカリスが同年、ベルモントSに挑戦するためにアメリカへ遠征した際は、指揮官から指名されて一緒にかの地へ飛んだ。しかし、結果はレース前に蹄を傷め取り消しとなってしまった。当時、南田調教助手は言っていた。

「結果は残念でしたけど、アメリカの厩舎や施設、競馬を見られて勉強になりました。この経験を今後に生かしていきたいです」

【次ページ】 鞍上の戸崎も「幸せ」。

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