フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
紀平梨花の逆転優勝に終わった四大陸。
三原舞依、坂本花織らの思い――。
posted2019/02/14 10:15
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Akiko Tamura
2019年2月8日、ロサンゼルス郊外アナハイムで開催された四大陸選手権で、16歳の紀平梨花が今大会の初タイトルを手にした。
日本女子がこの大会で優勝したのは、紀平が9人目である。
アジアと北米などの代表選手が競い合うこの四大陸選手権は、日本女子にとって世界のトップへの足がかりとしても、重要な位置を占めてきた。
初回の1999年から今季までの21大会中、日本の女子が優勝したのは13回(村主章枝、浅田真央がそれぞれ3回ずつ優勝)。2位の米国の6回に、大きく差をつけている。
台北で開催された昨年は、坂本花織、三原舞依、宮原知子の3人が女子の表彰台を独占。
今シーズンも、日本女子が表彰台を独占することが期待されていた。だがアナハイムの勝負は、そう易々と筋書き通りには進まなかった。
序盤……アメリカ勢が予想外の健闘。
SPでトップに立ったのは、アメリカのブレイディ・テネルだった。
2018年全米女子チャンピオンで、9月のオータムクラシックではエフゲニア・メドベデワを抑えて優勝した選手である。最後のスピンがわずかに乱れた坂本花織を僅差で抑え、「今日は全て、練習通りにうまくいきました」と満足そうな笑顔を見せた。
3位には、同じくアメリカのマライア・ベルがノーミスの演技で入り、2位の坂本がアメリカ勢2人に上下を挟まれる形になった。
「事前には日本女子に焦点が当てられていたが、こういう顔ぶれになってどう感じるか」という質問が会見で出ると、テネルもベルも異口同音に「あまり外部の意見は気にしたことがない。でもこうしてトップ3にアメリカ人2人が入れたのは、地元開催としてよかったと思います」と述べた。
ここしばらくアジア開催が続いていたこの大会が、北米に戻ってきたのは2012年コロラドスプリングズ以来、7年ぶりのこと。アメリカ選手たちの士気も高かったのに違いない。