フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
紀平梨花の逆転優勝に終わった四大陸。
三原舞依、坂本花織らの思い――。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2019/02/14 10:15
左から、銀メダルのエリザベタ・トルシンバエヴァ(カザフスタン/18歳)、紀平梨花(16歳)、三原舞依(19歳)。
紀平5位、三原8位のスタート。
紀平梨花は、公式練習中に左手の薬指を亜脱臼という事故に見舞われた。
その体調で挑んだSPでは、アクセルが1回転半になり5位スタートに。本番リンクの照明、ジャンプの直前に視野に入る光景など、1つひとつを綿密にチェックしていく紀平にとって、本番リンクで存分に3アクセルの練習が出来なかったことがネックとなったのだろう。演技後、紀平はアクセルについてこう説明した。
「スピードがまだ足りなかったのと、(指の怪我のために)3アクセルをするかまだわからない状態で、この氷では今までにないくらいしか跳んでいなかったので、あのミスが起こってもおかしくないような練習量でした」
一方の三原舞依は、冒頭の3ルッツ+3トウループの着氷が乱れ、トウループは回転不足の判定を受けた。
「こっちに来てからショートで今日みたいなミスをしたことがなかったので、どうしてこうなったのかなと……今日すごく反省したいなと思っている。ずっとミスのない演技ができていただけに、本番でできないというのが自分の弱さなんだと改めて感じました」と、演技後に悔しそうに唇をかんだ。8位という立場で、フリーに向かうことになった。
フリーで追い上げた日本勢。
フリーでは、日本勢の中で三原がトップをきった。『ガブリエルのオーボエ』のメロディにのって、3ルッツ+3トウループ、2アクセル、3ループと、1つひとつのエレメントを着実にこなしていった。結局すべてのジャンプを着氷して、最後にガッツポーズ。観客席が総立ちとなった。
「すごくほっとしています。6分間練習に入る前に音楽に合わせて観客の皆さまが踊っていらして、アメリカっぽいなと思った。踊っている方たちが笑顔だったので、私も笑顔で踊り切れたらいいなと思って、エンジョイしながら氷の上に乗ることができました」
休憩時間に、ビレッジピープルの『YMCA』が会場に流れ観客がノリノリで踊っていたことが、三原の心をリラックスさせたのだという。
総合207.12という数字で何位まで上がれるか。残りの選手の演技待ちとなった。