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ゴルフ史上最大級のルール変更。
捜索時間から旗竿、キャディーまで。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2019/02/08 11:00

ゴルフ史上最大級のルール変更。捜索時間から旗竿、キャディーまで。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

ピンをさしたままパッティング、という珍しい場面。松山英樹は「どっちがいいかわからない」と様子見。

キャディーの立ち位置が論争中。

○是か非か 「キャディーは後方線上に立つな」の新規則(10.2b)

 目下、大論争に発展しているのがコチラ。最初の事件は欧州ツアー・オメガドバイデザートクラシック最終日のこと。中国の李昊桐がグリーンで2罰打を科された。パットのスタンスに入った瞬間まで、キャディーが球とターゲットの後方線上に立っていたと判断された。

 以前からアドレスをとる際に、キャディーを後方線上に立たせて、狙いに対する体の向きをチェックしてもらう選手が多くいた。昨年、USGAとR&Aは新規則の発表を控え「ゴルファーが自分の足、体を使ってライン取りをすることは選手の基本的なゴルフスキルだ」とし、この行為を禁止することを決めた。

 ところが李とキャディーにその意図がなかったこと、スタンスに入ろうとした直後にはキャディーが後方線上から外れたことが映像で確認でき、欧州ツアーのトップまでもがペナルティに疑問を投げかける事態になった。

問題は起こるが、目指す方向は期待。

 翌週、今度は米ツアーで同じルールの“犠牲者”が出た。フェニックスオープン2日目、デニー・マッカーシーが4打目のショットを打つ前にキャディーが後方線上に立っていたため、同じく2ペナ。ところがキャディーが実際に同ポジションにいたのは選手が素振りをしていた最中のことで、もう一度アドレスに入り直したときには後方線上にいなかった。

 マッカーシーは罰を受け入れたが、「僕は今までキャディーにライン取りの助けをしてもらったことはない」と意図がなかったことを反論。ツアーは翌日、USGAとR&Aとの協議の末、異例となる罰打の取り消しという処置を行った。

 ややこしいハプニングを呼んでいるのは、まず「スタンス」の定義がゴルファーに熟知されないまま新規則が施行されたことが要因のひとつ。ルールを統括する2機関は相次いだ事件をうけ、改めて同規則を検証する必要がある、と明らかにした。

 このルールは規則集「10.2 アドバイスと他の援助」という項目に紐づいている。「プレーヤーにとっての基本的な挑戦は自分のプレーのための戦略・戦術の決定である。したがって、プレーヤーがラウンド中に受けることができるアドバイスや援助には制限がある」というのが規則の目的。

 そうであれば、そもそもゴルフが審判を設けず、各プレーヤーの良心によって成立しているスポーツであれば、例えば「ライン取りの際にキャディーの助言を受けてはいけない」と記すだけに留めればよかったようにも思う。それを防ぐ“方法論”を持ちだしたから、余計な問題が起こったのでは。規制の目的と、規制順守のための手段がごちゃ混ぜになっている。

 簡素化とスピードアップを目指したルール改正の結果、ツアーでは今のところ少しばかり複雑な議論を呼んでいる。

 施行から1カ月でこれだけの話題を創出したのだから、物事のはじまりは、やっぱり簡単ではないと痛感させられる。だからこそ、ゴルフ史でも最大級の改革とさえいわれる新ルールの可能性と今後の展開が楽しみでもあるのだ。

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