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ゴルフ史上最大級のルール変更。
捜索時間から旗竿、キャディーまで。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2019/02/08 11:00

ゴルフ史上最大級のルール変更。捜索時間から旗竿、キャディーまで。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

ピンをさしたままパッティング、という珍しい場面。松山英樹は「どっちがいいかわからない」と様子見。

松山英樹のボール大捜索事件。

○ボールは3分で見つけ出せ(6.3b)

 カリフォルニア州でのファーマーズインシュランスオープン2日目。松山英樹が打った16番パー3での第1打が消えた。手に残るミスショットの感覚から、本人はボールの軌道を目で追うのをやめたという。

 グリーンの近くに歩いて行くが、白球の姿がない。同伴競技者やボランティアスタッフのみならず、周りにいたテレビスタッフも大捜索。旧規則では捜索時間は5分だったのが、3分に短縮された。見つけたのは同組でプレーしていた韓国のキム・シウーのキャディー。バンカーに埋まっていたところを発見してくれた。

偶然動いたボールの処置も変更。

○偶然に動いた球はノーペナで元の場所に(13.1d)

 同じファーマーズインシュランスオープンで、今季初戦を迎えたタイガー・ウッズは初日、グリーン上でパットのアドレスに入る前に静止していたボールがわずかに動いたという。以前は風などで動いた場合は、球が再び止まった地点から打つのがルールで、新規則(実は数年前からのルール)では元の場所に戻す必要がある。ウッズはその処置に従った。

 ところでアリゾナでのウェイストマネジメントフェニックスオープンでは、珍しいシーンがあった。

 優勝したリッキー・ファウラーは最終日の11番ホールで第3打をグリーン奥の池に入れ、1罰打を科されてから傾斜地の刈り込まれた芝の上にドロップ。ところが、一度止まってインプレーになったボールがショットする前に動き出し、再び池に転がってしまった。さらに1ペナが加わり、結局トリプルボギーになった。

 ゴルフはパッティンググリーンと、そうでないエリアを明確に“線引き”をしている。規則集には「規則13はパッティンググリーンのための特別規則である。パッティンググリーンは球を地面の上で転がしてプレーするために特別に作られており、各パッティンググリーンのホールには旗竿がある。したがって、他のコースエリアとは違った特定の規則が適用となる」とハッキリある。

 ファウラーの球はグリーン上でなかったため、無罰とはならなかった。だが、もし負けていたら、彼の絶大な人気も相まってどんなに“悲劇”と騒がれたことか……。ひょっとしたら、世論が次の規則改正を後押ししたかもしれない。

【次ページ】 キャディーの立ち位置が論争中。

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