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ウッズ「去年とはまったく違う」
現実味を帯びてきた2つの大記録。
posted2019/01/25 08:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
新しい年を迎えると、PGAツアーは常夏のハワイで2連戦を行った後、米国本土の西海岸に舞台を移す。6年前のスケジュール改革で新シーズンの開幕が毎年秋に変わってからも、流れは同じままだ。
今の時期のカリフォルニア州、アリゾナ州はまだ朝晩の冷え込みが厳しく、前週まで半袖姿で汗を流していた選手たちが、早朝のスタート時にはセーターを着込む。
5週におよぶこのウェストコーストスイングの直後、2月中旬からのメキシコ、フロリダでの連戦になると、再びプレーヤーたちが半袖スタイルになるシーンを多く目にするようになるのだから、ツアーが行きわたる世界の広さを感じてやまない。
タイガー・ウッズは2019年の初戦を直近2年と同じように、カリフォルニア州サンディエゴ近郊でのファーマーズインシュランスオープンで迎えた。
スピースが生まれる10年前から。
黒いニットに身を包み、会場のトーレパインズGCに姿を見せた開幕2日前。午前10時半頃に練習ラウンドを開始した。この日のパートナーだったジョーダン・スピースに「ここにはもうどのくらい来ているわけ?」と聞かれると、「ああ、キミが生まれる10年前から来てるよ」と返した。
スピースは1993年生まれ。ウッズが初めて同大会に出たのは'98年だが、幼い頃に故・父アールさんに手を引かれ、初めて訪れたPGAツアー会場がここだったという。「あの頃はまだアンディ・ウィリアムスの(冠)大会だった」と笑う。米国の人気歌手だった故ウィリアムスは'68年から'88年までトーナメントをホストしていたから、限りなくホントの話である。
昨年9月、ウッズは前シーズン最終戦のツアー選手権で復活優勝を果たした。2013年のWGCブリヂストン招待以来5年ぶり。年の初めを思い返せば、どれだけ試合に出場できるかも不透明な手探り状態だったが、次第に状態を上げた。
全英オープン、全米プロで優勝争いを演じた夏場を経て、プレーオフシリーズでも好調を維持。アトランタで見事にカムバックした。