球道雑記BACK NUMBER
ロッテのキャンプが去年と全然違う。
吉井コーチが導入したブルペン制限。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2019/02/09 10:30
ドラフト1位・藤原恭大の打撃練習を見守る井口資仁監督。今年のロッテは楽しみが多い。
早く作りすぎた選手は開幕にいない?
吉井が言うように、千葉ロッテではキャンプ初日から紅白戦が行われた。
キャンプ前、ロッテ浦和球場で自主トレを続けてきたピッチャーたちの様子も見てきたが、新人の東妻勇輔や小島和哉といった面々まで、1月中旬にはキャッチャーを座らせて、熱がこもった投球練習を行っていた。
その姿はさながら2月中旬を思わせる熱のこもりようで、数日後、他球団の新人合同自主トレも取材させてもらったが、あまりの仕上がりの違いに正直驚くほどだった。
吉井がさらに言葉を続ける。
「野球を長く取材してる人なら分かると思うんだけど、早くできちゃった選手って開幕にいない人多いでしょ。そこの加減を見る必要があると思うんですね。そこをこっちで管理しないと選手たちは、みんな頑張っちゃうので……。その前にやらなきゃいけないことをこちらでやろうってことですよね」
人当りの良さと温かそうなその口調に、聞いているこちらまでグッと来た。
肩の消耗に、キャンプの球数も計算。
吉井が言うように、選手たちは自分をアピールすることに必死だ。
紅白戦、シート打撃と来れば、否が応でも結果も気にするようになってくる。この時期では考えられないような緊迫度、それに伴う筋肉への負担も充分考えられるだろう。吉井はそれを未然に止めようとしている。賢明な判断だ。
チームのコンディショニングを束ねる楠貴彦コンディショニングディレクターとの連携も完璧だ。楠が言う。
「肩の消耗が世間で叫ばれている中で、シーズンに入るとキャンプでどれだけ投げたかというデータをあまり見ないと思うんですね。その辺がこれを機に変わって来るんじゃないかと思っています。
その中でシーズン中、あまり成績が良くなかった選手が出てきたら、昨年のキャンプ中のデータを参考として『もっとキャンプで投げておけば良かった』とかにもなるかもしれませんし、そこを吉井さんにしっかり管理してもらえるだけでコンディショニングとしては凄くやりやすくなると考えています。肩のストレスの点で考えても、キャンプでどれくらい投げているかが分かれば、その分のトレーニングメニューも組みやすくなりますから」