サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
原口元気と武藤嘉紀の“相思相愛”。
「チーム雑草」の固い共闘意識。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJFA/AFLO
posted2019/01/19 11:30
走れる選手が増えた日本代表の中でも、原口元気と武藤嘉紀の存在感はやはり高い。
「気持ちがある選手に良いボールが来る」
もっとも、このゴールだけで何かを成し遂げたと言えるわけでもない。今大会の攻撃陣で唯一、世界で最もタフなプレミアリーグでプレーしている選手である。自らの存在価値とプライドを示すかのように、ゴールを決めた喜びを爆発させるのではなく、彼は胸を張った。
そんな武藤の一連の振る舞いについて、ベンチからながめていた原口はこう感じた。
「ああいう気持ちがある選手のところにはやっぱり、良いボールが来るものだから。そして、そういう選手が結果を残した。メンバーが大幅に代わったけど、今日の『サブ組』という言い方は失礼で、これまで試合にあまり出なかった選手たち。そういう選手たちが『俺たちも仕事をしたんだ』という自信をもって、チームとして次に臨めるわけだから。この意味はデカイでしょう。ロッカールームの雰囲気はポジティブだったよね」
「チーム雑草」という言葉の意味。
彼ら2人に通じるものとは何だろうか。それをよく知るのは、彼らとともに同じ空気を吸い、汗を流してきた選手なのかもしれない。
1月12日のこと。長友佑都が、原口と武藤と3人で収まった写真をこんな文言とともにSNSでアップした。
『チーム雑草。
どんな時もチームのために走り、泥臭く戦う仲間。』
原口の泥臭いプレーや気持ちを前面に出した姿勢は、ロシアW杯の最終予選から本大会を通じて、日本人の多くが知ることになった。
では、武藤はどうだろうか。
いわゆる「慶應ボーイ」として、名門大学の学生を続けながら華々しく代表にデビューしたこと、端正な顔立ち、練習場に来たファンに1人ひとり丁寧にサインに応じる姿から、キレイに咲く花のようなイメージがつけられがちだ。
しかし、むしろ彼の選手としての長所は、そうしたところにはない。幼少期に自宅の2段ベッドの上で飛び跳ねすぎて、ベッドが根元から崩壊してしまったというわんぱくなエピソードの方が彼にふさわしいのかもしれない。
だから、「チーム雑草」というのは自身のイメージと違うのではないか、と記者に問われた武藤は即座にこう返した。
「僕は全然、キレイな選手でもないです。佑都くん、元気くんもそうですけど、とにかく走って、闘うタイプ。それで、ここまで来られたと思っていますし、それは絶対に忘れちゃいけないところだと思います」