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青木宣親と若手4人の不思議な生活。
質問には答えても上下関係はなし。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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photograph byKyodo News

posted2019/01/20 11:30

青木宣親と若手4人の不思議な生活。質問には答えても上下関係はなし。<Number Web> photograph by Kyodo News

若手の向上心を喜び、そして個性を伸ばそうとする。青木宣親のもとには自然に若手が集まる。

緊張感はあるが上下関係はない。

 昔から青木の「自主トレ」に参加している上田以外の3人は、初参加だ。元メジャーリーガーに対する気遣いも半端じゃないだろうと思っていたが、どうもそうではないらしい。再び上田が説明する。

「共同生活なんで、自分のことは自分でやる、と。みそ汁ひとつ作るのも、ドリンクひとつ作るのも、なるべく自分でできることは自分でやろうよ、と。そういうのは青木さんが率先してやってる」

 基本的には和気藹々。練習中は青木が指示を飛ばすこともあるが、「家」では思い思いのことをして過ごしている。4人の中では「兄貴分」の上田が(誰が誰とは言わないが)「あいつ、勝手に人のiPad見てるし」とか「イビキうるさいのに『気をつかってる』なんてよく言えるなぁ」とこぼしながらも、いわゆる「上下関係」はないに等しい。

青木が質問しかえす場面も。

 それでもある種の緊張感があるのは、誰もが「野球のためにアメリカに来ている」という前提があるからだろう。そして、それは「まず自分がやる」という青木の姿を常に視界に入れているからではないか。少なくともそういう責任感を青木自身は持っている。

「自分が何かを伝える側だというのは充分、分かっている。何か訊かれたらいつでも答えるようにしてるけど、基本的には一緒にいることで何かを感じ取って欲しい……自然とそうなるんですよ。

 トレーニングしていても、メニュー以上のことをやってる選手もいる。休んでいる時でもストレッチしていたりとか、食事に関しても考えながらやったりとか。それは彼らの中に、今よりもステップアップしたい気持ちがあるからだと思う」

 その視線に日本風の「上から下へ」の一方通行はない。たとえば日本のメディアが最も注目する村上。昨季、「初打席初本塁打」のインパクトは強く、周囲は当然「和製・長距離砲」の誕生を期待する。青木も「なんでも一生懸命にやるし、常に意識を高く持っているところは、これからも大切にしていって欲しい」と期待する一方、思慮深い視線を向けている。

「自分の良さを消して欲しくない。だから、何か訊かれても『あくまでも自分が良いと思う形にしてくれ』と言っている。そもそも同じ体格してないし、俺はこうだと思うけど『違うな、と思ったらやらなくていいよ』と。逆に『今のはどう思う?』ってこっちから訊くようにしている」

【次ページ】 青木「筒香だって時間かかってるし」

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