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サッリのチェルシーに漂う閉塞感。
負の連鎖の前に、いますぐ補強を。 

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粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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photograph byUniphoto press

posted2019/01/16 10:30

サッリのチェルシーに漂う閉塞感。負の連鎖の前に、いますぐ補強を。<Number Web> photograph by Uniphoto press

メンバー固定化の弊害が出つつあるチェルシー。アザールを留まらせるだけの補強策に打って出られるのか。

蓄積したダメージはいつか出る。

 それでもサッリ監督は、年末年始の過密日程の際もローテーションは最低限にとどめている。メンバーの固定化は戦術理解度の熟成を図れる反面、選手の疲労度が増大するリスクもある。しかもプレミアリーグは、前述通りグアルディオラ、クロップ両監督が驚愕したほどのプレー強度を誇る。

 ローテーションは必須であり、年末年始を乗り切ったとしても、そのダメージはいつか必ずやって来る。

 現時点でアスピリクエタとM・アロンソのバックアッパーは不在だ。ダビデ・ザッパコスタとエメルソンは、レギュラーとして出場できるクラブに移籍する公算が大きい。サッリ監督はギャリー・ケーヒルの退団を容認した。このままではDFが壊滅状態になる。

 構想外のビクター・モーゼス、ダニー・ドリンクウォーターもエージェントが活発に動いている。クラブを去ったセスクも含め、中盤も枚数不足だ。ルーベン・ロフタス・チーク、ロス・バークリー、カラム・ハドソン・オドイは次代のチェルシーを担う逸材とはいえ、サッリ監督の信頼を得たとは言いがたい。

アザールの去就にも影響が?

 したがって、一刻も早く即戦力を、サッリ監督の手法を短期間で会得できる超一流を獲得すべきなのだが、本稿執筆時点で強化に大幅な進展はない。セスクの取引終了後、ゼニト・サンクトペテルブルクのレアンドロ・パレデス、もしくはカリアリのニコロ・バレッラがやって来ると伝えられているものの、はたして即戦力の期待が持てるのだろうか。

 また、強化担当のマリアナ・グラノフスカヤが、DFを物色しているという噂はまったく聞こえてこない。現有勢力で今シーズンを乗り切ろうとしているのなら、あまりにも無謀な決断だ。

 このままでは必ずへばる。優勝争いどころか、チャンピオンズリーグの出場権奪還も怪しくなる。仮に4位以内に入れなかったとしよう。アザールは間違いなくマドリーに新天地を求め、多くの主力も移籍を真剣に検討するだろう。そして、サッリ監督は解雇される。まさしく負の連鎖。来シーズンも笑っていたいのなら、可及的速やかに、全ポジションをテコ入れしなくてはならない。

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