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内田や柳沢が感じる日本と海外の差。
シャルケはなぜ炭鉱に敬意を示すか。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2019/01/05 10:00
12月19日のシャルケ対レバークーゼン戦には炭鉱夫たちが招かれ、エスコートキッズも炭鉱夫の衣装で登場した。
地域社会とのかかわり方。
シャルケのウェブサイトでも、閉山は大きく取り上げられた。
UEFAクラブランキングで現在20位とまぎれもないビッグクラブのシャルケだが、こうした地域密着のイメージづくりはとても好ましいと思っている。ドイツ国内でシャルケ以上にビッグといえばバイエルンとドルトムントの2クラブだが、彼らとの絶対的な違いはこうした地域社会との関わり方だ。
わかりやすいのは練習を一般公開するという方針。ビッグクラブになればなるほど、練習の公開日は少なくなり、選手とファン・サポーターが接する機会は少なくなる。ドルトムントでは月に1日あれば良い方だ。練習がオープンになる日が少ないから、まるで試合のように多くのファンがつめかけ、結局のところ満足のいくコミュニケーションはとれない。
内田が話していた面白い話。
だが、シャルケでは週のうち2日から3日は練習が公開される。若い学生や子ども連れ、地元で長らく練習場に通っているのであろう老人たちが練習を見ながら、コーヒーやビールを飲み歓談する。
これこそ、地域に根付いている証だ、とそんな風景を見ながら微笑ましく思う。
もちろん小規模のクラブになれば、むしろ練習を非公開にする施設がないため公開など普通のことなのだが、シャルケのようなビッグクラブになってもそのスタンスを貫いていることに価値がある。
先のクラブW杯で、レアル・マドリーと対戦した鹿島の内田が面白い話をしていた。
「昔ね、ヤナギさん(柳沢敦)に、海外と日本の違いってなんですかって聞いたことがあるの。そしたら歴史っていわれて。それ正解だなって今思うんだよね」