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スポーツ業界は“物好き”頼みに終止符を。
並木裕太が考えた経営人材活用法とは?
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byGetty Images
posted2019/01/08 07:00
ヒューストン・アストロズのGMジェフ・ルノー。MLB界では、球団経営面でも様々な革命が起こっている。
MLBのCEOはどんな人たちか?
並木は「もったいないですよね」と小さなため息を漏らす。
「スポーツの世界には、勝負があって、刺激があって、だからこそ魅力がある。世の中に数多ある業界の中でも、こうしたパッションの力で人を呼び込める業界はそうありません。その強みをもっと生かすべきだと思います」
そしてコンサルタントらしく、次のようなファクトを羅列する。
「MLB30球団のCEOについて調べてみました。オーナーが兼任しているケースが6割ほどと多いですが、ヤンキースやレッドソックスなど外部からプロ経営者を招聘している球団もある。
それから『スポーツ・エグゼクティブ』も一派を形成していますね。
これは、大学を出てすぐにスポーツ界に入り、いくつかのチームを渡り歩きながら経営者の地位まで上り詰めた人たちのことです」
日本では数少ない成功事例。
日本との比較へと論は進む。
「NPBの球団社長、あるいはJリーグのクラブの社長も、多くが事実上の親会社からの出向などで占められている。それを全否定するつもりはありませんが、皆がそのポジションを目指してやってきたわけではない、ということは言えると思います。
また、たとえば楽天イーグルスは、リクルートを経て『インテリジェンス(現パーソルキャリア)』を立ち上げた島田亨さんが初代社長に就き、黒字でスタートした。
横浜DeNAベイスターズも、住友商事や博報堂などでビジネスキャリアを歩んできた池田純さんが初代社長となって経営を健全化させた。
これらは成功事例と言えますが、彼らが経営者になった経緯を考えると、オーナーの意向ひとつだったのではないかと思うんです。言い換えれば、球団社長になるにはオーナーに近い存在であることが必要だということ。その立場にいられる人は非常に限られている」