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ボヘミアン・ラプソディを見て思う。
ロックとフットボールの高い親和性。
posted2019/01/02 09:00
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph by
AFLO
1度見たけれど、また行ってもいいと思う。そう言って、実際に2度も映画館に足を運んだ人が、身近に2人いる。うち1人は、3度目の鑑賞も考えている。
伝説のバンド「クイーン」。なかでもボーカルのフレディ・マーキュリーに焦点を当てた映画『ボヘミアン・ラプソディ』が大ヒットしている。確かに「胸アツ」な作品だった。
ライブの舞台裏のシーンから始まるこの作品のなかでも当然流れるが、クイーンの代表曲の1つに、『We are the champions』がある。フットボールの国際大会の表彰式で流されることも多く、この競技とクイーンのファンのみならず、どこかで耳にしたことがあるはずだ。勝利へと全力を尽くした人々に贈るのに、これほどマッチする曲もないだろう。
ロックとフットボールの親和性。
それも、そのはずである。フットボールからインスパイアされた曲なのだと、作者のフレディが語っている。
老舗の音楽メディア『ローリングストーン』が、フレディが1978年に語った「これを書いたとき、フットボールのことを思い浮かべていたんだ」との言葉を伝えている。フレディ本人はフットボールよりもボクシングに惹かれていたそうだが、多くの人を巻き込むこの競技には、ロックと同じ熱源を感じていたのではないだろうか。
ロックとフットボール。確かに、その親和性は高い。唯一手を使ってボールを弾き出すGKと、足も使って黙々と熱意を叩きつけるドラマー。華麗なテクニックで魅了するギタリストとスポットライトを一身に浴びるボーカリストがいれば、見る者を驚かせるパスを出すMFや自分のゴールしか考えていないストライカーがいる。
性格のまったく違う者たちが自分の個性を押し出して、美しき栄光というたった1つの結果を求める。本能と人間の理性の融合。だから人間的で、文化的なのだ。