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箱根駅伝の達人・碓井哲雄が語る、
青学優勝をはばむ3条件とは?
posted2018/12/26 07:30
text by
碓井哲雄Tetsuo Usui
photograph by
Takuya Sugiyama
「こんどの箱根駅伝も、青山学院の優勝ですかねえ?」
師走に入り、箱根駅伝が近づいてくると、こう私に尋ねる人が増えてきました。それに対して私はこう答えます。
「順当にいけば青山学院が勝つでしょう」
それだけ青山学院大の戦力は抜きんでているのです。
しかし駅伝に絶対はない。とくに1区間の距離が長い箱根駅伝はなおさらです。これは選手として3回(10区、2区、2区)走って中央大5連覇、6連覇に貢献、その後は母校の指導者として、また日本テレビの解説者として、箱根駅伝にかかわって55年という、私の経験から自信をもって言えます。
自著『箱根駅伝 強豪校の勝ち方』(文春新書)にも書きましたが、「よくて8割の自信で、あとの2割は神頼み」というのが箱根駅伝なのです。
そこで私の知識、経験を総動員して、どんな条件がそろえば、王者・青山学院が敗れるのか。それをシミュレーションしてみましょう。
2チーム作れる青山学院の層の厚さ。
そもそも、なぜ青山学院は勝てるのか。誰もが口を揃えるのは選手層の厚さ。箱根に出場できるチームを2つ作れるのではないかと思えるほどです。スーパースターはいないが、逆にいえば誰が出ても力の差がない。
一般的にいえば選手層の厚さは両刃の剣で、「たいしてタイムも変わらないのに、なんでアイツが試合に選ばれるのだ」という不満がチーム内に生まれやすいもの。それでも青山学院が4連覇を達成しているのは、原晋監督の統率力の賜物でしょう。