第95回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
強力ルーキーたちを擁する早稲田大学。
日本体育大学は試練を乗り越えて粘れるか。
posted2018/12/26 11:00
text by
箱根駅伝2019取材チームhakone ekiden 2019
photograph by
Shunsuke Mizukami
早稲田大学
<前回大会3位> 43年連続88回目
黄金ルーキーの勢いやいかに。
上級生は最後に意地を見せられるか。
文=小堀隆司
苦境に立っているのは間違いないだろう。
学生3大駅伝のうちの2つ、出雲駅伝で10位、全日本大学駅伝で15位と、今季の早稲田大学は駅伝シーズンに入ってから良い流れに乗れないでいる。特に全日本の15位は、2003年の途中棄権を除けば大学史上過去最低順位。出場した関東勢の中でも最下位だった。
長距離部員35名中1、2年生が23人という若いチームだけに、勢いが裏目に出ることも考えられたが、さすがにこれだけの結果は相楽豊監督にとっても想定外だったようだ。
「過去最低ですからね。さすがに危機感を覚えてます。ただ、トレーニングの内容としては、例年と同等かそれ以上にできていることも多い。今は順調にケガ人も戻ってきていますし、箱根に向けては危機感と同じくらいの手応えも感じています」
ルーキー中谷に大器の片鱗が。
成績が振るわなかった理由ははっきりしている。エース格である永山博基(4年)と太田智樹(3年)の2人が故障により欠場。出雲は6区間中5区間で、全日本は8区間中7区間で、大学駅伝デビューの選手を使わざるを得なかった。高校で実績のある1年生を積極的に起用したという側面もあるが、そこにも誤算があったと話す。
「普段の練習を見てもポテンシャルが高いのは間違いないんですけど、どうしても経験値やメンタルの部分でまだ弱さがある。次の選手にたすきを渡すときに、たとえ数秒でも詰めて渡せるかどうか。駅伝にはそういう経験の差がはっきりと出ますね」
惨敗と言える結果の中にも、光るものは見えた。ルーキー中谷雄飛の好走だ。出雲は3区4位、全日本は3区2位と、エース区間でいずれも区間賞に迫る走り。後方でたすきを受けながら、果敢に前だけを追う姿に大器の片鱗が見えた。
初めての箱根路も「平坦な区間で、ゲームチェンジャー的な走りがしたい」と本人が語るように、中谷を往路の1区や3区に起用できるようだとチームは勢いに乗るだろう。