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ユーベ敏腕GM退任理由はロナウド?
キナ臭い噂と、インテル入団発表。
text by
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph byUniphoto press
posted2018/12/19 16:30
ユーベに数々の栄光をもたらしたマロッタGM。彼の退任がセリエAの勢力図に変化をうながすのか。
忍耐と直感、決断に優れたGM。
信頼できるスタッフを周囲に配し、ユベントスではスポーツディレクターのファビオ・パラティチに責任を与えてきた。新戦力の選考など陣容刷新のアイデアについては、パラティチをはじめとする担当スタッフの意見をしっかり吸い上げていたようだ。
マロッタを頂点とするメカニズムは、後方からのビルドアップがあり、ラストパスのアシストがあって、ゴールが生まれるサッカーとよく似ている。
新戦力の候補者を絞り込むパラティチは“アシストメーカー”であり、最後のフィニッシュを担うマロッタは優秀極まりない“ゴールゲッター”だったのだ。
虚々実々の駆け引きも少なくないクラブ間の交渉をまとめ上げ、曲者揃いの代理人を窓口にしながら狙った選手を口説き落とす。
近年のユベントスは忍耐力や直感を含めた決断力が求められるゼネラルディレクターという“ゴールゲッター”がとりわけ優れていたからこそ、同じ名門クラブを出し抜く新戦力の獲得や、セリエAの覇権を争うライバルを弱体化させる引き抜きの移籍を毎年のように実現させてきたのだろう。
ロナウド獲得と会長との相違。
'13年夏のカルロス・テベス獲得ではミランを、'15年夏のパウロ・ディバラ獲得ではインテルを出し抜いたと言われている。
'16年夏にはナポリのエースストライカーだったゴンサロ・イグアインと、ローマの絶対的な司令塔だったミラレム・ピアニッチの同意をそれぞれ取り付け、クラブ間交渉が不要な契約解除違約金の支払いという形で、ライバルの戦力を削ぎ落としている。
こうした陰の大功労者を、ユベントスはなぜ急に追い出したのか。キナ臭い噂も聞こえてくるなか、信憑性が高そうな理由は今夏のクリスティアーノ・ロナウド獲得をめぐるアンドレア・アニェッリ会長との意見の相違だ。