サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ザック・ジャパンは満身創痍……。
香川抜きでオーストラリアとどう戦う?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/01/28 10:30
アジアカップでは、ここまで順当に指揮してきたザッケローニ監督。“背番号10”が去り、他の選手たちも傷んでいる今こそ、“名将”としての采配が求められる
ギリギリの勝負となる決勝戦。どう乗り切るべきか?
日本にとって最悪のニュースは、現地時間の26日夕方に現地を駆け巡った。右足小指の付け根の骨折により、香川がチームを離脱することになったのだ。彼のアジアカップは、決勝戦を前に終わりを告げたのである。
オーストラリアのセンターバックは、高くて強いものの揺さぶりにもろい。香川の俊敏さは大きな武器になったはずで、日本は貴重な、本当に貴重なカードを失ってしまった。
ザックはどのような手当をするのか。
本田圭を欠いたサウジ戦を踏まえれば、4-2-3-1の布陣を維持するのは前提と考えるのが妥当だ。
細貝を先発で起用して長谷部と並べ、遠藤をアンカーとする中盤の構成も選択肢にあがっているが、今大会にザックが求めるのはチームの成長である。守備重視の現実的な戦いは、自分たちのサッカーからかけ離れてしまう。香川不在でも布陣と戦略を変えず、右から藤本、本田圭、岡崎の並びとする。あるいは、右から本田圭、柏木、岡崎とする。ザックは柏木を先発で使う可能性が高いのだが、好調な岡崎とのコンビネーションを重視して、藤本を先発に抜擢したい。追いかける展開を想定し、李はジョーカーとしてベンチに置いておく。
先発メンバーの顔触れがどのようになろうとも、待ち受けるのは厳しい戦いである。甘えの通用しない一戦だ。
アジアの頂点に立った過去3度のファイナルも、万全の状態で迎えたわけではない。'92年はGK松永とボランチの森保が、2000年は稲本が、'04年は遠藤が出場停止だったのは、見落とされがちな事実である。
準決勝までの5試合で、選手たちは諦めない気持ちと一体感を示してきた。蓄積する疲労を抱え、香川を欠いたいまこそ、チームとしての芯の強さと太さが問われる。