サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ザック・ジャパンは満身創痍……。
香川抜きでオーストラリアとどう戦う?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/01/28 10:30
アジアカップでは、ここまで順当に指揮してきたザッケローニ監督。“背番号10”が去り、他の選手たちも傷んでいる今こそ、“名将”としての采配が求められる
「いまやっていることを続けるだけ」(本田圭佑)
左足のふくらはぎにテーピングを巻いている長谷部も、「3日あれば問題ないです」と周囲の不安を一蹴する。「選手はもちろん、スタッフもひとつになってやれてきている。最後も勝って終わりたい」という決意は、「フィジカルはだんだん回復しているし、メンタルについては心配していない」というザックの言葉を裏付けるものだ。
韓国戦後はテレビ取材にのみ対応した本田圭も、この日は記者の質問に答えた。
「どれだけいい準備をしたかで試合は決まる。自分の頭のなかでは、戦いはもう始まっている」
数日前から徐々に試合モードへシフトしていくのが、本田圭お馴染みの調整法である。オーストラリア戦前にじっくりと語るのは、今日が最後となる可能性が高い。数日前に整髪をした背番号18は、そのぶん多弁である。
「オーストラリアは身体が大きい。そこは彼らのアドバンテージ。逆にこっちのアドバンテージは、ボールを保持したときに出てくる。相手がオーストラリアだからといって、変えることはない。自分たちの良さを出して、相手の良さを消す。いまやっていることを続けるだけ。クオリティを高めて、その回数を増やす。それが日本の良さだと思う」
身体能力も個の力も韓国をひと回り大きくした感の豪州代表。
準決勝でウズベキスタンを6-0で粉砕したオーストラリアは、昨年の南アフリカW杯だけでなく、'06年のドイツW杯からの代表選手も少なくない。選手個々はもちろん、チームとしても今大会でもっとも経験豊富なチームである。13ゴールは日本と並んで大会最多で、失点はグループリーグで韓国に許した1点のみだ。こちらは大会最少である。
かつて浦和を率いたホルガー・オジェック監督のチームは、ケーヒルを最前線に置く4-2-3-1を基本布陣とする。セントラルミッドフィールダーのクリナがグループリーグ途中で離脱したものの、複数のポジションをこなす選手がズラリと揃う。戦術的な柔軟性は際立って高い。身体能力も個の力も、韓国をさらにひと回りスケールアップさせた印象だ。ニールやキューウェルらベテランが多いものの、チームの走行距離でもまずまずの数字を残している。
攻撃の起点が多いことも見逃せないだろう。カタールのセバスチャンやウズベキスタンのジェパロフといったように、特定の個人を封じられると攻撃力が半減してしまうチームではない。攻撃の起点はいくつもあり、ベンチにも流れを変えられるカードが控える。
さらに付け加えれば、シュートレンジが広い。
今大会ではペナルティエリア内からの得点が圧倒的多数を占めるなかで、オーストラリアはエリア外からも精度の高いシュートを浴びせてくる。これまでの5試合のように、相手のシュートミスに助けられるような展開は期待できない。