福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史「危機感を持ったはず」
キルギス戦で光った選手は……。
posted2018/11/21 17:00
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Takuya Sugiyama
キルギス戦の後半、大迫や南野、中島、堂安が投入されたとたんにゴールを立て続けに奪うのを見たら「攻撃のスピーディーさが全然違ってくるんだな」というのは誰もが感じたでしょう。
ベネズエラ戦を含めて、4-2-3-1の1トップと2列目、この4人が出た場合と他のメンバーとでは現状で差があるかな、というのは正直な印象です。
もちろんキルギス戦、スタメンで送り出されたアタッカー陣も、自分の特徴を見せる場面はありました。
伊東はシュートチャンスこそ決めきれなかったけど、1人で強引に突破できるスピードがあるし、杉本のポストプレーの意識、北川のベネズエラ戦でのターンからのシュート、そしてキルギス戦での大迫へのアシストなど、2試合ともに何かを起こそうという意識は見えました。
ただ自分の特徴を出したうえで次のプレーにつなぐときに、周囲と1つリズムが遅れて崩しきれない、というケースが目立ちました。特にベネズエラ戦では後半に入って攻撃の形がなかなか作り切れなかった。原口はその辺りを意識していましたし、お互いにプレーする時間が増えれば……と思う一方で、今後の選手層を考えると、少し気になるところです。
リズムに「差」があるのでは。
冒頭で触れた「差」の部分は、ドリブルなどの個人能力以上に、周囲とのリズムの合わせ方、変化のつけ方にあるのではと思います。
例えば堂安、南野、大迫の場合、“わざとかぶらせているんじゃないか?”というくらい近い距離感を取ってのワンツー、パスをスルーして後方の選手に受けさせるなど、スムーズにフィニッシュまで持ち込める。
ポジションチェンジもそう。堂安が中央に入ってきたら大迫が右サイドに流れたり、南野が右サイドに流れてきたところを堂安が中に……と、お互いのバランスと意思疎通がとてもうまくいっているから、相手マーカーに揺さぶりをかけられている。
そして左サイドでドリブルを仕掛けてゴールへと一気に向かっていくイメージが強い中島も、ゴールから遠い位置ではゆっくりとボールを動かしたり、エリアによってプレーの使い分けをしている。誰が出てもその柔軟性を発揮できれば、チームのレベルはひと段階上がるはずです。