フランス・フットボール通信BACK NUMBER
アルジェリアサッカー界の腐敗。
八百長を国中が知っている異常さ。
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byBernard Papon
posted2018/11/18 10:00
アルジェリアの八百長で驚くべきは、そのことを選手もファンも協会関係者も全員知っているということだ。
国中が知ってるサッカーの八百長。
『フランス・フットボール』誌は、BBCから資料の独占的な使用権を得た。同じ資料はFIFAの倫理委員会と規律委員会にも送られた。
最も衝撃的であるのは、八百長を疑われた試合の数の多さではない。情報源によれば、シーズン後半のアルジェリア1部・2部リーグでは、少なくとも週に1試合は八百長が行われているという。
それよりもショックなのは、誰もが八百長がフィクションの世界の出来事ではないと気づいており、ファンやメディアもオープンに議論していることである。協会をはじめとする統括者たちも平然とそれを見過ごしている。
ハレドに言わせれば「すべてのクラブ会長は泥棒か詐欺師で、自分たちが利益を得るために立場を利用している」だけであり、選手やレフリーは彼らのいい餌食なのである。
不健全なクラブ経営が八百長を生む。
アルジェリアサッカーは2010年にプロ化された。だがそれによって金銭面での困難が解消されたわけではない。
多くのクラブはバランスシートの公表を拒否し、財政状況を検証できないのが現状である。唯一わかっていることは、1部リーグで最も資金が豊富なクラブ「USMアルジェ」の2015年における年間出費が650万ユーロ(約8億5千万円)であり、平均的な1部クラブの予算はその5分の1程度であるということぐらいである。
財政はどこも芳しくなく、2018年7月には32のプロクラブのうち15クラブが、プロリーグ連盟が決めた負債限度額である1000万ディナール(約9億4千万円)を越えて、選手の獲得を禁じられたのだった。それでもまだ状況は改善されたほうで、さらに1年前には21クラブが処分の対象となっていた。
財政が脆弱なためクラブは選手のサラリーを満額支払うことができないことも多い。2017年6月に「CAバトナ」の選手11人がクラブへの不満を公然と表明したように、同様の衝突はそこかしこで起こっている。