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アルジェリアサッカー界の腐敗。
八百長を国中が知っている異常さ。

posted2018/11/18 10:00

 
アルジェリアサッカー界の腐敗。八百長を国中が知っている異常さ。<Number Web> photograph by Bernard Papon

アルジェリアの八百長で驚くべきは、そのことを選手もファンも協会関係者も全員知っているということだ。

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フィリップ・オクレール

フィリップ・オクレールPhilippe Auclair

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Bernard Papon

『フランス・フットボール』誌10月23日発売号では、アルジェリアサッカーのショッキングな実態が明らかにされている。同誌がフランスで独占的に掲載する英国BBCの長期にわたる調査が、日常的に不正が蔓延するアルジェリアの状況を白日のもとに晒しだしたのだった。

 恐らくは世界でも最も不正とは縁遠い日本サッカーに慣れ親しんでいる読者の皆さんには、遠い世界の出来事にしか感じられないかも知れない。実際その通りでもあるのだが、逆に言えばフィリップ・オクレール記者が描き出しているアルジェリアの現実は、多かれ少なかれ世界のどこでも起こっている現実でもある。その生々しさを多少なりとも感じて欲しい。

監修:田村修一

「八百長」ではなく「調整」。

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 ハレド(仮名)にとってシーズンのはじまりは8月半ばではない。そろそろクラブの命運が決まり始める2月が彼にとってのシーズンのはじまりであり、会長たちがタイトルの獲得や降格の心配を本気で考えだしたときに、彼の携帯電話は鳴りはじめるのだった。

 控え目な言い方をすれば、ハレドはいわゆる「仲介人」である。

 この15年というもの、試合の《調整》が彼の仕事であった。自らの実績に彼は誇りを持っている。20数度にも及ぶ大規模な《調整》の成功を自画自賛し、他にも無数の小さな《調整》を画策してきたことを仄めかす。

 彼が仕事に関わったリストには、1部リーグのかなりのクラブが含まれ、下部リーグの試合の《調整》のためにもレフリーや選手の人脈を利用することを厭わない。影響は育成レベルにまで及んでいる。

 BBCは3年間にわたり、ハレドのような「仲介人」や選手、クラブ首脳、レフリーなど、アルジェリアサッカーの不正に関わってきた人々の詳細な調査を敢行した。加担者であれ犠牲者であれ、誰もがこの腐敗の構造と無関係ではあり得ないのだった。

【次ページ】 国中が知ってるサッカーの八百長。

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