フランス・フットボール通信BACK NUMBER
アルジェリアサッカー界の腐敗。
八百長を国中が知っている異常さ。
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byBernard Papon
posted2018/11/18 10:00
アルジェリアの八百長で驚くべきは、そのことを選手もファンも協会関係者も全員知っているということだ。
絶対に勝てない工作《救急車の一撃》。
ある地元で最も歴史あるクラブの会長が、昇格に向けて真剣に戦っているときに、いかにして選手に裏切られたかを語ってくれる機会があった。
1対0とリードしていた状況で、その選手は相手に得点させるためにわざとパスミスをしたのだ。そして94分にも同じミスを犯し、見事相手に勝利をもたらしたのだった。
「彼は相手クラブの会長から賄賂を受け取っていた」とその会長は語る。
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「事実が発覚してすぐに契約を解除したが、彼はシーズンをかけて私たちがしてきたことのすべてを台無しにしてしまった」
実際に、元協会関係者も「不正は特定のクラブというわけでなく、そこかしこに存在する」と告白しているほどだ。
八百長の最終的な保障となるのが、通称《救急車の一撃》と言われている方法である。
ホームチームはリーグ規約により医者と救急車をスタジアムに必ず待機させておかねばならない。それを怠れば(賄賂を受け取った医者がわざとスタジアムに来ない)、レフリーは試合を無効にしてホームチームの負けを宣言し、簡単に八百長が成立する仕組みである。
大統領に解決して欲しい!
BBCによる暴露は、アルジェリア国内に大きな衝撃を与えた。
ふたつのクラブの会長、モハメド・ザルアティ(JSサウラ)とハサン・ハマル(ESセティフ)は、アルジェリア協会が本気で不正撲滅に取り組んでいるかに疑問を呈し、ケイレディヌ・ゼチ会長を強く批判した。
ザルアティは、アブデルアジス・ブーテフリカ大統領がこの問題に介入することを望んでいる。
今日ではすべてが白日のもとに晒されつつある。これ以上悪くなることはあり得ない。アルジェリアには明日に向けての希望が生まれようとしている。
<八百長メニュー一覧(目安価格)>
・1部リーグ
アウェー勝利: 5万8500ユーロ(約750万円)
アウェー引き分け: 1万4500ユーロ(約190万円)
アウェーでのPK獲得:7000~1万4000ユーロ(90~180万円)
・2部リーグ
シーズン前半のアウェー勝利: 6000~7000ユーロ(80~90万円)
シーズン終盤のアウェー勝利: 2万9000ユーロ(約370万円)
シーズン前半のアウェー引き分け: 2900ユーロ(約37万円)
シーズン終盤のアウェー引き分け: 7000ユーロ(約90万円)
シーズン前半のアウェーでのPK獲得:3700ユーロ(約47万円)
シーズン終盤のアウェーでのPK獲得:6000~7000ユーロ(80~90万円)