フランス・フットボール通信BACK NUMBER
アルジェリアサッカー界の腐敗。
八百長を国中が知っている異常さ。
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byBernard Papon
posted2018/11/18 10:00
アルジェリアの八百長で驚くべきは、そのことを選手もファンも協会関係者も全員知っているということだ。
選手が八百長を拒否しても損!?
ときには調整が齟齬をきたすこともある。
選手が共謀を拒否するケースがそれで、次の対戦相手の《仲介人》からコンタクトを受けた1部リーグのあるGKは、クラブ会長にその事実を告げたのだった。ところが外部からの圧力に屈した会長は、GKの訴えを無視したばかりかプレーの機会まで奪ってしまったのだった。
また信じられないような場面を目撃することもある。それらのシーンはときにテレビを通じて全国に流される。
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あるレフリーなどは、彼が加担するチームが得点を決めるまで、3度も立て続けにPKを与えたのだった。
昇格・降格も金次第。
最近の2部リーグの試合ではこんなことがあった。
Aというクラブが、最終節でBというクラブと最低7万ユーロで引き分けることに同意した。引き分けならば、両クラブともに降格を避けられるという条件だった。
もしこの試合で勝敗がついてしまうか、もしくはもうひとつ別の試合でCというクラブが負ければ(対戦相手のDが勝てば)、AかBのどちらかが降格することになるという状況だった。
結果は……まずこのAとBの試合は予定通り1対1で引き分ける。
ところが、ほぼ時を同じくして行われていたもうひとつの試合、CとDの対戦において、ある事件が起こった。
ホームでの試合だったCは、引き分け以上ならAもBも降格せずに済むはずだった。試合は80分を過ぎて0対0のままだった。そのとき、AとBの試合が引き分けに終わったことを知った観客たちがピッチに乱入して、AかBのどちらかを降格させるためにCの選手たちに試合に負けなければ殺すと脅迫したのである。
死の危険を感じたCの選手たちは96分に(わざと、もしくは恐怖のゆえ)失点を喫し、レフリーはただちに試合を終了させたのだった。結局、Aは降格することとなった。
これがアルジェリアの現実である。